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この難しい住之江区選挙区に新人として挑戦するのが、元タレントの佐々木りえさん。佐々木りえさんは「4年前に比べて維新に対する支持率は下がっている。12月の衆院選比例区では第一党を維持したものの、厳しい情勢。新人の自分は現職には無い特性を活かし、既存の維新支持票を奪うのではなく、新しい支持層からご支持をいただかないといけない」と語る。
それにしても、大阪の街で多くの人に取材して感じるのは、大阪では政治の主役が「市政」だということだ。橋下徹市長の発信力に加え、大阪府議会の議員定数を109人から88人に削減するなど、大胆な議会改革、行政改革を断行したことが、「ふわっとした民意」からの支持を固定化してきた理由になっているように感じる。一方で、歯に衣着せない発言などが反感を招くことも多々あり、4年前ほどの勢いがないのもまた事実だろう。
大阪夏の陣で豊臣家は滅ぼされ、日本の中心は大阪から江戸へと移った。今、大阪で「地方分権」の旗を掲げた決戦が起きるのも、歴史の必然なのかもしれない。
参考までに、大阪市議会(定数86名/過半数43名)の会派名称と人数を見ておこう。
大阪維新の会大阪市会議員団 30人
公明党大阪市会議員団 19人
自由民主党大阪市会議員団 18人
OSAKAみらい大阪市会議員団 9人
日本共産党大阪市会議員団 8人
無所属大阪市会議員団 1人
地方議会議員は政界で「足もと」?
国―県―市のピラミッドを破壊せよ
大阪では「市政」が政治の主役。一般的に、これまで地方議会議員は、政治の世界では「足もと」などと呼ばれ、国政の下部組織、集票マシンとして見なされる政界の常識があった。「国会議員になりたいなら、まずは地方議会議員から」と言う人が時々いるが、実はこの言説は色々な意味で間違っていると筆者は考えている。
確かに両者とも「議員」であり、選挙で選ばれるという点では同じかもしれないが、その役割や求められる資質は大きく異なっている。実際、現職の国会議員の中で、地方議会経験者の割合は決して多数ではない。明治以来、日本のトップイシューは常に外交であり続けたことは言うまでもなく、マクロ経済など大局的な観点で政策論を語れる資質が求められる。一方、地方議会議員は、その地域特有の課題について議論し、マクロな観点というよりはもっと泥臭い問題解決力が求められる。
むしろ、国政を目指す者が地方議会を経験することで、かえって「しがらみ」に巻き込まれやすいというデメリットもある。たとえば、原発の最終処分場を決めるといった、どこかの地域が損をせざるを得ないような決断をする際、国会議員にとっては地域との絆は逆に重たいしがらみになる。
単純に「選挙に勝つ」という観点から見ても、地方議会議員経験者が必ずしも選挙に強いわけでもない。たとえば、昨年の衆院選に出馬した新原秀人元衆議院議員は、市議会議員、県議会議員を経験しているが、地方議会を経験していない元銀行員の関よしひろ衆議院議員に大差で負けている。ここからも、地方議会議員を経験していることが、必ずしも選挙の強さに結びつかないことがわかるだろう。結局、国政の場合、得票の桁数が大きすぎて、個人が足で集められる限界を超えているのである。