[CFOフォーラム・ジャパン2014 CFO講演]
オムロンの企業力向上への取組
~逆ROIC経営~鈴木 吉宣 氏
オムロン株式会社 代表取締役副社長CFO

さらなる企業力アップのために

 オムロンの企業力を高めるために、再度グローバル社会の中で新しい経営基盤構築の必要性を再認識している。今後の拡大市場は、国内ではなく海外にある。現状のオムロンの経営スタイルでは、海外の市場変化にタイムリーに対応できないのではないか、日本人主体のグローバル経営には限界があるのではないか、という問題意識から、さまざまな面を見直し、できるところから変えていこうとしている最中である。

 日本(人)は単一国。言語の限界、文化、宗教、種族の独自性から、その運営の限界を感じている。「限界だ」とあきらめてはならないが、今までのように日本人駐在員が主体となってグローバル経営を進めていくのではなく、現地での人財資源の活用の加速を考えている。グループ経営もインターナショナルからマルチナショナルへの企業転換を図っていく。それが大きな課題となっている。

 そうした中で、ガバナンス力、経営力、現場力、財務力、そして一番大事な人財力を、オムロンらしく経営理念の下で高め、再構築していくための取り組みを進めている。

ガバナンス力

 ガバナンスについては、2007年度から、複数名の社外取締役に就任していただいている。現在、取締役会を構成する取締役7名のうち、2名は社外取締役、内部取締役は5名となっている。内部取締役のうち2名(取締役会議長+1名)は執行の兼務がない取締役、3名(CEO〔社長〕、CFO、CSO〔戦略〕)が執行兼務の取締役である。社外取締役も含めると執行非兼務と執行兼務の比率は4対3で、非執行兼務がマジョリティであるところでガバナンス体制を維持している。

 また、取締役会の下に、社長指名諮問委員会、報酬諮問委員会、人事諮問委員会、コーポレート・ガバナンス委員会を設けている。コーポレート・ガバナンス委員会は、社外取締役・社外監査役を中心に議論を進めている。報酬諮問委員会では、取締役については会長が、執行役員については社長が評価した報酬体系・総額・分配をこの諮問委員会に諮っている。社長指名諮問委員会は、社長の選任に特化して次期社長人事を含め定期的に議論している。現社長の山田は、この指名諮問委員会で選ばれた初めての社長である。人事諮問委員会は、私も委員に加わっている。ここでは来年度の体制、執行役員への昇格、降格等を諮問していく。これらの全ての委員会の委員長は、社外取締役に務めていただいている。CEO以下の執行機関は、執行会議等をふまえながらいくつかの委員会をもってガバナンス上の運営をしている。

 オムロンでは監査役を設置している(社内監査2名、社外監査2名)。監査役会は独立した組織となっている。また、社長の直轄部門として内部監査部門も設置している。

 内部統制は、J-SOXを中心に取り組んでいる。中でもコンプライアンス、リスクマネジメントは日々拡充するべく注力している。ことに事業が急拡大している中国では、キャッシュマネジメントにも注力している。グループ内取引では、できるだけ為替を起こさず、一カ所にまとめて債権債務相殺など調整を行い取引を簡素化している。同時に、経営人財確保育成などの人事系を中心としたリスクマネジメントを強化する取り組みもスタートさせた。2015年度からは、中国国内のリスクマネジメントの再構築を私がリーダーとなって進めていく。

 ガバナンスの中でのユニークな例として、3カ月に1度、品質問題、不正・不祥事などの状況を取締役会に報告している。お恥ずかしい話だが、不祥事はなかなかなくならない。品質問題に関しては、バッドニュースファーストで早期に手を打つことに腐心している。品質課題にヒューマンエラーはつきものだ。発生部門は、本社の解決支援部門にすぐにコンタクトし、支援を依頼し、共に早期解決、原因究明を進める体制を敷いている。その一つの進捗報告の場が、3カ月に1度の取締役会での報告、フォローアップである。