>>(中)より続く

 売掛・買掛サイトの管理

 図18でわかるように、多くの企業が拠点に任せている一方で、「売掛債権と顧客の与信情報」の一元管理と共有化が売掛債権管理での課題と捉えてい る。買掛債務管理では、拠点の「購買部門での不正やバックリベート」に関連する問題と「購買条件の均質化」を課題として捉えている。図22でも明らかなよ うに、昨年までは意識されていなかった「債務引受決済サービス」の活用を買掛債務の課題解決策の一つとして検討しているようだ。どちらにしても、拠点任せ の体制に問題の本質が潜んでいることは疑う余地がない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ここでの評点は売掛、買掛の条件変更などに対して、財務部門がどれだけ現場に入って調整できるかで評価している。また、その中で現場の課題をど れだけ認識し、課題に対して財務部門が動ける環境にあるかでも評価した。結果として、ここで評価が高い企業は買掛債務の課題に対しても、購買部門に任せて いない企業であった。

 J社はグローバルに消費者向けの食品を提供している企業で、拠点の売掛債権の回収やデフォルトに強い危機感を持っている。G社は電気部品会社であ るが、営業利益率が他社より低く、営業利益率との相関を悪化させた企業であるが、現預金もしっかり見ており、営業キャッシュフローはE社と同じくらいの マージンで稼いでいる。

 E社は、経営者の性格なのだろうか、確実性とバランスがとれた拠点コントロールをしている。H、I社は、ともに世界何位という商品構成を持つ会社 であるが、現預金、在庫、売掛金、買掛金の情報収集では評点が低い。特に、I社は規定や統一化でも低い評点となっている。この2社の主要取引先が自動車業界のせいだろうか。