そこで、世界共通のやり方を上から押し付けるのではなく、国情や市場動向などを考慮したローカライズ(現地化)に切り替える。個別に是々非々で判断し、「効率の良い生産体制を構築して皆で一緒に成長しよう」と“日本的な考え方”を持ち込み、現場には当事者意識を持たせてやる気を引き出す和洋折衷型に軌道修正した。

産業界でもレアケース

 実は、この点が日本板硝子の捲土重来の鍵を握っている。というのも、日本人が買収したグローバル企業──世界30カ国で展開する──の主導権を握り、経営に乗り出すのは、日本の産業界全体でもほとんど初めての事例なのだ。

 例えば、トヨタ自動車は日本のやり方を海外に移植する“日本化”で、世界共通の品質を提供する。その対極にあるのが日本板硝子で、すでに名のあるグローバル企業を買った後に、日本人と外国人の混成チームで“現地化”を進める。現地への浸透では、トヨタよりも踏み込んでいるといえる。

 もっとも、日本板硝子は、経営再建の途上であり、いまだ黒字化を実現しておらず、配当金も出せていない。だが仮に、これまで日本企業がやったことのない規模感での現地化を軌道に乗せることができれば、オセロ・ゲームのように一気に挽回を果たすことも夢ではない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)