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マーケットが見える!人のココロをつかむセオリー

かわいいピンクのタクシーは何を運んだ?

消費者に共感のストーリーが育つ構造を考える

藤田康人 [インテグレート代表取締役CEO]
【第77回】 2015年4月27日
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メイク落としは家で
寝る前にだけ使うもの?

 まず、発売して3年が経っていても、継続的に売れ続けているという事実は重要です。なぜなら、日用品は価格競争に陥りやすく、乗り換えられやすい商品カテゴリに属します。それでも売れ続けるということは、やはり、多くのコアなファン、つまり、リピートユーザーの存在が大きいことが考えられます。

 はたして、実際のユーザーは、どんなタイプの女性たち(男性も?)なのでしょうか。顔を洗う水のない場所でもメイク落としができることに、継続的に対価を払い続ける人の人物像とはいったい……。

 私たちはここで、自宅で寝る前などに「必要に駆られてメイクを落とす」ためのニーズの他に、「もっと積極的な理由でメイク落とす」シーンでのニーズが、同社のメイク落としの売れ行きを支えているのでは、という仮説を立てました。

 そして、実際にユーザーへのインタビュー調査を行う中で見えてきたのは、「メイクを直したい」と思う時の気持ちに関する、それまで全く見落としていたインサイトです。

 調査の結果、仕事が終わって街に繰り出す前に一度完全にメイクを落とし、仕事の時とは別の雰囲気を醸し出すメイクをし直している女性が、少なからずいるという事実が浮かび上がってきたのです。人によっては、仕事用の洋服とは異なるタイプの洋服をわざわざ最寄りの駅のコインロッカーに置いておいて、着替えまでしているケースもありました。

 アフターファイブに職場での自分をリセットし、新しい自分に「変身」して夜の街に繰り出す女性たち。私たちは、そこに現代の女性たちのオンとオフの気持ちの切り替え方、したたかさを超越した生き方などを感じたのでした。

 そんな女性たちにとって、メイクは別の自分になれる魔法であり、その場その場の雰囲気によって自身を変身させてくれるものだということに、私たちは改めて気付いたのです。しかるに、メイク落としは変身のための必須アイテム。出先でも変身するには、やはり水で顔を洗わなくて済むタイプのものが好都合でしょう。

 そこで私たちは、試行錯誤の末に「変身女子」というコンセプトキーワードを開発しました。そして、いつでもどこでも、彼女たちを変身させることができる「動くパウダールーム」を街の中で走らせることにしたのです。

 しかし、どうやって走らせようか……。

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藤田康人
[インテグレート代表取締役CEO]

慶應義塾大学を卒業後、味の素株式会社を経て、92年、フィンランド人の社長と二人でザイロフィン ファーイースト社(現ダニスコジャパン)を設立。素材メーカーの立場から キシリトール・ブームを仕掛け、キシリトール製品市場はゼロから2000億円規模へと成長。07年、株式会社インテグレートを設立し、代表取締役CEOに就任。著書に『どう伝わったら、買いたくなるか』『99.9%成功するしかけ』 『漂流する広告・メディア』講演活動も行っている。integrateGroupウェブサイト:http://www.itgr.co.jp/

マーケットが見える!人のココロをつかむセオリー

インターネットなど双方向メディアの普及に伴い、従来の広告メッセージが届きにくい時代になったと言われます。どんな方法なら消費者とのコミュニケーションが成立するのか。「次世代IMC」を掲げる注目のマーケティング企業CEOがその極意を伝授します。

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