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マーケットが見える!人のココロをつかむセオリー

かわいいピンクのタクシーは何を運んだ?

消費者に共感のストーリーが育つ構造を考える

藤田康人 [インテグレート代表取締役CEO]
【第77回】 2015年4月27日
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消費者の中で共感の
ストーリーが育つ構造

 その答えが、「かわいいピンク色のロンドンタクシー」をコンセプトに生まれた「BifesTAXI(ビフェスタクシー)」です。商品名にちなんでそう命名しました。

「変身」している間に行きたい場所まで連れて行ってくれるタクシーがあったら……を体感できる「BifesTAXI」(マンダム提供)

 ドアを開けて乗り込むと、かわいいデザインの内装にテンションが上がります。そして、「変身女子」が移動中に変身できるよう、ソファの前面には照明付きの鏡張り、もちろん、メイク落としや化粧品、髪の毛を巻き上げられるドライヤーなども装備しています。

 “タクシー”ですから、指定すれば職場まで迎えに来て、変身している間に六本木や銀座など、遊びに行きたい場所へと運んでくれます。まさに、お姫さま気分で夢のひとときを提供してくれる、魔法の移動空間というコンセプトを消費者に体感してもらおうというわけです。

 稼働は2カ月の間だけ、それも金曜日の夕方から夜の合計8日間だけでしたが、サービス開始のニュースリリースを送ると、早速ウェブを中心にニュースとして取り上げられ、「乗ってみたい」というたくさんの問い合わせが入りました。

 さらに、「タクシーを取材したい」というテレビ番組もあり、その反響や、街中で実際に「ピンクのタクシー」を見た人たちが写真を撮ってInstagramやフェイスブック、ツイッターなどに公開することで、ウェブでの口コミが広がっていきました。とりわけ、実際にこの”タクシー”利用した「変身女子」たちの口コミは、どんどん拡散したことは言うまでもありません。この企画と連動した限定商品の「変身女子応援パック」も完売しました。

 この事例から私たちが改めて学んだのは、「やはり、ストーリー・テリングは重要だ」ということです。見た目にインパクトがあるコンテンツでも、コンセプトが伝わらないのではブランドへの貢献があったとは言い難いでしょう。

 消費者が心のどこかで「あったらいいな」と思っているものが、突然目の前に現れ体感できる。「その夢の世界に連れて行ってくれたのが、あの会社のこの商品」というストーリーが、消費者の中で育っていくことこそがブランディングではないか、ということが確認できたように思います。

 「ストーリー・テリング」は、アド・アボイダンス時代のブランドマーケティングの、まさに要といえる手法ではないでしょうか。

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藤田康人
[インテグレート代表取締役CEO]

慶應義塾大学を卒業後、味の素株式会社を経て、92年、フィンランド人の社長と二人でザイロフィン ファーイースト社(現ダニスコジャパン)を設立。素材メーカーの立場から キシリトール・ブームを仕掛け、キシリトール製品市場はゼロから2000億円規模へと成長。07年、株式会社インテグレートを設立し、代表取締役CEOに就任。著書に『どう伝わったら、買いたくなるか』『99.9%成功するしかけ』 『漂流する広告・メディア』講演活動も行っている。integrateGroupウェブサイト:http://www.itgr.co.jp/

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インターネットなど双方向メディアの普及に伴い、従来の広告メッセージが届きにくい時代になったと言われます。どんな方法なら消費者とのコミュニケーションが成立するのか。「次世代IMC」を掲げる注目のマーケティング企業CEOがその極意を伝授します。

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