前回に続き、竹中平蔵・慶應義塾大学教授へのインタビューをお届けする。今回のテーマは、低下し続ける世界の中の日本の存在感。竹中教授は、政治の迷走もさることながら、日本人一人一人の力が落ちてきていると警鐘を鳴らす。今回は、前回以上に公の場で言わないような発言がたくさんあるので、是非ご一読されたい(聞き手・岸博幸)。
竹中平蔵 慶應義塾大学教授/チーム・ポリシーウォッチ代表 Photo by T. Usami |
―竹中教授は様々な国際会議で世界のリーダー達と意見交換していますが、金融危機を経て、彼らの最大の問題意識は何だと感じていますか。
何層もあると思うが、最大の問題意識は、新たな世界の秩序をどう作っていくかということではないだろうか。
G20などの場でも議論されるが、今の国際機関や国の枠組みでは限界が来ている。自分の国に有利になる形に持って行きながら、どのような世界秩序を確立できるか。それを5年、10年かけてやっていくというのが、一番高いレベルでのリーダーの関心事だと思う。
次にリーダー達の関心事となっているのは、世界が進まなくてはならない方向と国内のポピュリズムの間での対立の激化である。
どの国も、グローバル化の中で競争力を発揮して勝てるようにしようと努力している。その結果として国内で保護を受けている人々の既得権益が浸食される場合、ある程度ポピュリスト的な対応を取らないと政権が生き残れない。
このような構図の下で、頑張っている政権ほど国内的には苦しい。例えば、サルコジが“強いフランスを作る”と言って頑張ると国内の人気ががーっと下がった。世界のリーダー達はそうした葛藤と困難に直面している。
―世界のリーダー達の間で、日本は存在感を発揮できているのでしょうか。
はっきり言って、世界のリーダーの間で日本の存在感はすごく乏しい。日本が何をやろうとしているのかよく見えないのだから、当然だ。小泉政権が終わってから、日本はこういう方向に向かっているというメッセージがなくなった。