日本の政権と選挙(4)
就任直後に2度も選挙の洗礼を受けた菅政権

 鳩山首相の辞任を受けて、民主党代表選が行われ、菅直人財務相が後継首相に就任した。菅政権の発足直後の支持率は60%を超え、参院選での勝利は確実と思われた。ところが、菅首相が消費税について「自民党が提案している10%を1つの参考にしたい」と唐突に発言したことで、支持率が急落し、民主党は参院選に大敗してしまった。これ以降、民主党政権は「ねじれ国会」に悩まされることになってしまった(前連載第53回)

 民主党内の小沢前幹事長を中心とするグループや、鳩山前首相は、菅首相の軽率な発言が参院選惨敗の敗因となったと厳しく批判した。参院選からわずか2ヵ月後の2010年9月には、民主党代表選が行われ、菅首相と小沢前幹事長が正面から激しい選挙戦を戦うこととなった。首相はなんとか辛勝したが、首相就任からわずか3ヵ月で二度も選挙の洗礼を受けることになってしまった。その混乱は、首相への国民の信頼を失わせ、支持率低迷につながった(前連載第58回)

 その後、菅首相は東日本大震災・福島第一原発事故の処理に追われることになり、中部電力に対する浜岡原子力発電所の全面的な運転停止を要請など、「唐突な決断」が批判を浴びることになった(第9回)。自民党は「内閣不信任案」を提出し、民主党内から同調者が出るかもという騒ぎになり、首相は「退陣表明」をしてこれを収める事態となった。菅首相の政権運営は混乱を極めた。だが、首相は財政政権には強い意欲を示し、2011年6月「社会保障と税の一体改革」の素案を決定するなど、消費増税と社会保障の議論を地道に進めたことは重要である(第16回)

政権と選挙(5):
消費増税に政治生命を賭けて選挙に敗れた野田政権、
そして「アベノミクス」の狂騒

 11年9月、菅内閣が退陣し、野田佳彦内閣は「社会保障と税の一体改革」を「政治生命を賭けて」本格的にスタートさせた。民主党内から小沢グループなど消費増税反対の声が噴出して混乱した。また、谷垣禎一総裁率いる自民党が「バラマキ4K」などマニフェスト政策の完全撤回を野田政権に要求し、強硬路線を突き進んだ。内閣支持率は低迷した。

 だが、自民党は消費増税そのものには反対しなかった。12年2月、谷垣総裁は野田首相と極秘会談し、消費増税について協調路線にシフトした。民主党と自民党は、社会保障政策については考え方が大きく異なったが、自民党は徹底的に反対して野田内閣倒閣を狙うことはなく、考えの異なる点については「社会保障制度改革国民会議」を設置して議論を継続することを提案した。結局、民主・自民・公明による消費増税のコンセンサスが形成され、消費増税関連法案は圧倒的多数で会決された。実に国会議員の約8割が賛成する「大政翼賛会」並みの大規模な合意形成であった(第40回)