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 こんにちは。今日からこの連載を始めることになりました、グロービス経営大学院の林と君島です。今回から、このところ注目を浴びている、女性の活躍推進の話題と、そこにまつわる誤解について、皆さんと考えていきたいと思います。

 さて、冒頭の、高橋部長と斎藤部長の会話、色々な職場の片隅や居酒屋の席で聞こえてきそうですよね。あるいは、実際に声には出さなくても、心の中ではこのように考えているかもしれません。政府はこう言っている、経済団体もそう言っている。その流れに乗らないと世間的に非難されそうだ。仕方ないから女性活躍推進、少しだけ手をつけてみるか。まあ、これもCSRの一環だな、…ということのようですね。

 筆者としてはたいへん残念なことですが、仮に多くの会社の管理職がこの2人の部長のように「とても面倒なこと」「難しいこと」「できればやりたくないこと」だと考えているのだとしたら、こんなこと、本当にやる意味があるのでしょうか?そもそも、なぜ女性の活躍推進なんて、やらなければならないのでしょう。

「仕方ないから」、なのでしょうか?

女性が働かなければ
2060年の労働力人口は4割減に

 女性の活躍推進や、女性管理職比率3割目標というものに多くの人が意識を向け始めたのは、2013年4月に安倍首相が発表した「3本の矢」の成長戦略からでしょう。金融政策という第一の矢、財政政策という第二の矢に続く第三の矢として「日本再興戦略」が示され、その柱の一つが女性の活躍推進であるとされました。

 ちょっと唐突に感じた人もいるかもしれませんが、実は、これに先立つ2012年4月、OECDが「日本再生のための政策」と銘打った提言の中で、労働市場における男女格差(女性の労働力率や賃金の低さ)の是正を揚げています。2012年10月に行われたIMF・世界銀行年次総会でも日銀の白川総裁が、日本経済の発展には女性の労働力率を上げることが重要であると指摘し、ラガルドIMF専務理事も賛同を示しました。

 これらの発言の大元にあるのが、日本の人口、特に労働力となり得る層の減少です。ちなみに、2013年時点の労働人口(15歳以上で働く意思のある人の数)は6577万人でした。皆さん、これからどれくらいのペースで減少していくか、想像がつきますか?