不安は本当だったのか?
反対派の意見に対する「3つの反論」

 そこで、これまで都構想について語られてきた様々な「反対意見」「不安」についても検証しておきたい。果たして、反対派の政治家や識者たちの意見は適切だったのだろうか。制度や政策というものには、必ずデメリットも存在する。これまで出てきた反対意見の中には、明らかなデマも多かった。「賛成の人は住民投票へ行かなくてもいい」「大阪の地域の伝統が破壊される」――こういった意見は無視し、ある程度論理性があると筆者が認めた反対派の3つの意見に対して、筆者の見解を述べておきたい。

【反論1】「今の制度でも二重行政は解消されており、大阪市を廃止する必要はない」

 反対派は、現在でも大阪府と大阪市の間に調整会議というものが設置されており、そこで話し合いをすれば二重行政は解消できる、と主張した。確かに、話し合いで解決できるようなことであればその通りだろう。かつ、現在は大阪府と大阪市の首長を「二重行政を解消する」ことを御旗に掲げる大阪維新の会の政治家が担っているため、調整会議は有効に機能すると思われる。

 しかしながら、話し合いで全てが解決するはずはない。たとえば、企業のM&Aや部署の統廃合の際に、両社で丹念な話し合いなどしていたら、永遠に結論は出ないだろう。意思決定プロセスが必ず1つに統合されていなければ、決まるものも決まらないというのは、組織設計の仕事にかかわったことがある人なら、理解してもらえるだろう。

【反論2】「大阪市の権限が大阪府に奪われるというのは、地方分権に逆行するのではないか」

 確かに、大阪市に納められていた税収(固定資産税など)は、今後は大阪府に入り、特別区に再分配される。特に、反対派の論客が指摘するのは、特別区の財源の多くを占めることになる「財政調整交付金」の20%(おおよそ2200億円)ものお金が広域サービスの名の下に特別区の外に使われることになる、という点だが、これはその通りであろう。

 大阪維新の会は「特別区内の広域サービスに使う」「府に移る広域行政の事務や市債の返済にあてる」と説明するが、特別区内にとどまるならば、そもそもそれは「広域サービス」とは呼ばない。もし、大阪市以外にお金が流れないなら、それこそ大阪市を廃止する意味がない。

 ただこの点については、今後は「大阪府が広域行政を担う」以上、仕方のないことである。インフラ整備などの権限や財源が大阪府(都)に集約されることになれば、鉄道や建築物は金額も大きいため、予算だけを見れば大阪府(都)の権限が肥大化し、旧大阪市の財源は小さくなるように見えるのは当然だ。だが、大阪市が5つの特別区に細分化され、それぞれの特別区に選挙で選ばれた区長と区議会議員が設置されるわけなので、基礎自治体としては、現状の区よりも特別区の方が権限が増し、地方分権とは逆行しない。

 そもそも、統治機構の改革というのは、お金の流れ方が変わるだけで、それ自体は払っている税金の総額、使う税金の額の総額を変更するものではないので、別に何かのサービスが大幅に低下したり向上したりするものではない。もちろん、その後の運営や新しい府知事と新しい区長の政治判断によって、それらが変わる可能性は高いが。