米国で景気対策効果の息切れが顕著になってきた。
現在、米国政府は初めて住宅を購入する個人に最大で8000ドルの税額控除を認める政策を講じ、住宅市場をテコ入れしている。
その政策の期限は11月末、税額控除が認められるのは期限までに引き渡しされた物件だ。契約から引き渡しまで通常2ヵ月かかるといわれているから、10月からの契約は控除が受けられない。
かくして、政策効果が期待できなくなった10月の住宅市場指数は4ヵ月ぶりに前月比で低下した。住宅市場指数を構成する一戸建ての住宅販売、一戸建ての住宅販売の向こう6ヵ月の見通し、見込み客の客足の3つの指数すべてが低下しており、これは昨年11月以来のことだ。
8月24日に予算枠を使い切り、ひと足先に、購入支援策が打ち切りになった自動車。こちらの政策効果も、ものの見事に剥落した。年換算で7月1120万台、8月1404万台と1000万台の大台を超えたが、9月は916万台と再び大台を割り込んでいる。
住宅の税額控除について11月末以降、延長を求める声が議会で上がっている。しかし、2009年度の財政赤字は1兆4171億ドルと過去最悪を記録し、自動車の購入支援策はあっさりと打ち切られたことも考慮すれば、現在の規模のままで延長される可能性は小さい。「延長されたとしても需要を先食いしていることは確実で、これまでのように需要を喚起することは難しい」(上野泰也・みずほ証券チーフマーケットエコノミスト)のは間違いない。
7~9月期のGDPは年率3%増と見られているが、これは前述の政策効果による自動車や住宅の販売増加と在庫調整のテンポの緩和に支えられてのもの。
政策効果の剥落が明らかになる10~12月期は、在庫調整の鈍化によるかさ上げ分を除けば、ほぼゼロ成長の水準に落ち込むことは確実だ。景気の先行きに暗雲が垂れ込めている。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田孝洋)