発展途上国の恵まれない子どもたちに教育機会を提供することを目的に、図書館や学校の設立などを精力的に行うNPO「ルーム・トゥ・リード」。この創設者であり共同理事長であるジョン・ウッド氏と、シリーズ82万部突破のベストセラー『伝え方が9割(2)』の著者、佐々木圭一氏が対談。伝えること、子どもの教育を変えることを信念に持つ二人の考えとは。
1000万人の子どもたちに
学校を、図書館を、児童書を
佐々木 『マイクロソフトでは出会えなかった天職』を読ませていただいて、非常に感銘を受けました。マイクロソフトで大成された方が、その座を捨ててまで起業されたということ自体すごいですし、利益優先の仕事から信念優先の仕事へシフトチェンジされたことに、すごく驚きました。
《ルーム・トゥ・リードの実績》(2015年3月現在)学校建設 1930校、図書館・図書室開設 1万7000ヵ所以上、現地語出版 1100タイトル以上、女子教育支援 3万人以上
Photo credit: Sergio Villareal
ジョン・ウッド氏 私自身、大きな変化でしたし、最初はとても大変でした。ルーム・トゥ・リードは、「子どもの教育が世界を変える」を信念に、読み書き能力と読書習慣を育成することを目標に設立しました。1999年の設立から16年。今年ようやく1000万人の子どもたちに教育を届けることができました。設立以来のビジョン達成は、長い旅でしたが、本当にやってきてよかったと思います。
佐々木 1000万人ですか、すごいですね。
ウッド 1000万人という数字は、自分もすごく誇りに思っています。日本からもたくさんのサポートをいただいていまして、過去7年間、寄付・支援国のトップ6に日本はずっと入っています。個人の方からも、それに企業からもたくさんの支援をいただき感謝しています。もともとルーム・トゥ・リードは、グローバルな組織にしたいと思っていたので、こうやって広がっていくことは大変うれしいです。
佐々木 前職とは全然違う仕事をされていますが、支援する子どもの人数や学校建設数など数字を追いかけているのは、マイクロソフト時代の遺伝子が残っているんじゃないでしょうか(笑)。
ウッド 数字は本当にインパクトがあります。自分たちがしていることのインパクトを測るためにも、コミュニケーションにとっても非常に大切だと思います。数字もですが、データも私たちは非常に大事にしています。学校建設は、もうすぐ1800になりますし、図書館・図書室も8万室に届きそうです。
佐々木 学校が1800も。
ウッド 児童書の配布は1500万冊にも上ります。私たちは、その実績、数字に誇りとこだわりを持ってみなさんとコミュニケーションをしたいと考えています。