69万部突破のベストセラー『伝え方が9割』の著者であり、第2弾である『伝え方が9割(2)』も好調の佐々木圭一氏と、LINE株式会社CEO退任後に動画ファッションマガジン「C CHANNEL」を立ち上げ、著書『シンプルに考える』も話題の森川亮さんの対談が実現。お二人の専門領域でもある「今の時代のコミュニケーション」について語っていただきました。(構成/伊藤理子 撮影/石郷友仁)
あれもこれもと迷うと、本質を見失う
佐々木 森川さんとは、定期的に食事をする仲なんですよね。森川さんが親しい知り合いをどんどん連れてくる「森川会」というのに入れていただいて。私は、経沢(香保子)さんから森川さんをご紹介いただいたんですが、経沢さんはまだ森川さんとも会ったことがないというタイミングだったんですよね、確か。
森川 そういえば、そうでしたね(笑)。
佐々木 森川さんがすごいのは、気になる人がいたら、どんどんTwitterなどでつながって、直接お食事にお誘いするんですよね。「LINEの森川です。食事に行きませんか?」って。もらった方は驚きますよ。「いや、これ嘘だろう…?でもそれにしてはフォロワー多いから本物か…」なんてね。今もそういうこと、されているんですか?
森川 やっていますね。以前は、経沢さん経由で佐々木さんを紹介いただいたみたいに、会ってみたい人ができたら、その人との間にいる共通の知り合いを探して紹介してもらっていたのですが、その人の予定が合わないと話が一向に進まないじゃないですか。もう面倒くさいから、直接連絡してしまおうと。
佐々木 そうやって次々と、自ら人脈を広げておられるのがすごいですよ。私も仲間に入れてもらって、光栄です。…そんな中、突然LINEのCEOを辞めると聞いて、驚きました。しかも、本も出版されると聞いて、二度びっくり。確か2年ぐらい前、私がダイヤモンド社の編集担当者と森川さんを引き合わせたのですが、その時は森川さん、開口一番「本を出すことは考えていないんですよね」っておっしゃっていたじゃないですか。「あれ?あのあと話が進んだんだ…?」って(笑)。
森川 すみません、その節は(笑)。
佐々木 いえいえ(笑)。著書を拝見させていただきましたが、感銘を受けすぎて、もう折り目付けまくり、線も引きまくりです。好きなポイントはいくつもあるのですが、敢えて言うならば「はじめに」のところ。「あれも大事、これも大事」と迷っていると結局何も決められない。力を分散させるのではなく、一つのことに全力を集中することが結果につながる、という考え方。つまり、シンプルにユーザーのことだけを考え、ユーザーが本当に求めているものを生み出すことに集中する。私みたいに小さな組織を運営している者は、つい不安になってあれこれ考えたくなるのですが、改めて、「おっしゃるとおり。北極星は一つでいいんだ」と教えられましたね。
森川 読み込んでくださっていますね、ありがとうございます。僕より詳しかったりして(笑)。