2020年までに1500万人の
子どもたちへ、教育を届けたい
佐々木 もう一つ、『伝え方が9割(2)』と共通点があるんです。リーダーはひとりではなく、みんながリーダーのひとりであるという部分です。本では、チームワーク化という表現でまとめています。簡単にいうと、一緒にやろうと言えば、人は動きやすくなるということ。
「学校を建ててください」と言うよりは、「一緒に学校を建てましょう」。意味は一緒ですが、伝え方がこのビフォーアフターで、アフターのほうが「じゃあ、やろうかな」って気持ちになると僕は思っていて、まさにそういうことをされているのかなと思います。
ウッド そうですね。一緒にやろうというのは本当に重要です。一緒にという感覚をすごくみなさん持ってくださいます。パドルを挙げてくださった方は、自分はスーパーヒーローなんだと思うよりも、僕は20人もいるスーパーヒーローの中の1人なんだと、その人にとって記憶に残ることだと思います。
佐々木 今後、ルーム・トゥ・リードのビジョンについては、どうお考えですか?
ウッド まずルーム・トゥ・リードを立ちあげたときの最初の目標が、2020年までに1000万人の子どもたちに教育を届けるということでした。私たちは5年前倒しで今年その目標を達成しようとしています。なので、次の目標は、もともと掲げた2020年というその日までに、1500万人の子どもたちに教育を届けることを次の大きなゴールにしたいと思っています。より大きな目標を掲げるので、より大きなコミュニケーションをする必要があります。
生まれた場所が悪かった。生まれたタイミングが悪かった。そういった現実がありますが、それはもう過去の歴史にしたい、ゴミ箱に捨ててしまいたいという想いです。誰もが、相応しいときに生まれ、相応しい場所に生まれて、相応しい国、相応しい場所、相応しいタイミングで生まれています。だから誰もが教育を受ける権利を持っています。世界にはあなたをヘルプしてくれる人がいる。だからあなたは相応しい時に生まれて、相応しい場所に生まれているんだというふうに伝えたいんです。
佐々木 教育を通して、コミュニケーションを円滑にすることこそが、世界を変えるという想いですね。
ウッド 教育を受けることによって自尊心が生まれ、自分の意見を言うことを怖れなくなります。カンボジアの女の子であっても、アフリカの黒人の男の子であっても、教育を受けることで自尊心を持って自分の声を上げることができるようになります。そうすれば人の話を聞くことができて理解することもできる。そして、それは本当によりよい世界に繋がっていくというふうに思っています。
佐々木 はい。完全に僕もそう思います。今後も、一回だけの支援ではなく、引き続きいろんな形で一緒にやっていくことができれば嬉しいです。