24時間決済にグローバル化 決済進化の行方

 現在、国内の振込は「全銀システム(全国銀行データ通信システム)」という決済システムで行われています。現在、それとは別に、全国銀行協会は振込を24時間・365日決済可能な新たな決済システムを構築すべく約50億円を掛けて準備を進めています。

 銀行で振込ができるのは平日午前9時から午後3時が原則です。これは「全銀システム」の稼働時間のためで、午後3時以降や土日祝日に他行宛てに振込をしても、翌営業日回しになります。

 24時間365日決済可能の新システムは振込専用で、基本的に新システムに参加している銀行に預金口座を保有する人は、いつでも参加行に口座を保有する人に振込ができるようになります。主としてATMやインターネットでの利用を想定しています。

 ただし、これには疑問もあります。構築する理由としてよく言われているのが、「深夜に現金が必要となった時に送金が必要」とありますが、そのようなケースは具体的にはどのようなケースでしょうか。日本の決済市場の特色としてクレジットカードが一般化しており、深夜のタクシーでも、ネットの買い物でも問題はないとは思うのですが。そもそも24時間・365日の振込は我々の生活でどれほど役に立つのでしょうか。これも同様に、メリットが見えにくく、膨大な費用と便益の検討が難しいですが、本件は方向としては導入方向でプロジェクトが進んでいます。

 さらに、決済分野では、他にも大きいプロジェクトが走っています。日本の決済インフラの根幹をなす「日銀ネット」の改革、特に決済時間の延長、また国債決済期間の短縮など、目白押しです。それぞれ莫大な費用が掛かります。

 また、2020年の東京オリンピックのために国内のATMの半分近くで、海外のキャッシュカードやクレジットカードが使えるようになる予定です。セブン銀行が大幅に増やすほか、コンビニのATM運営会社、3メガバンクなどが新たに整備を始め、海外対応のATMは約8万台に達する見通しです。

 さらに、一歩進んで、アジア各国の金融機関とATMを相互接続する案も検討もされています。アジア・オセアニア10ヵ国が参加するATMネットワーク「アジアン・ペイメント・ネットワーク(APN)」もまさに“アジア式”に走りながら考えており、加盟国全体を網羅する中央システムをつくる予定もありますが、なかなか先が見えない状況です。これもメリットが見えにくく、同様に費用便益が見えず、金融機関の決断は困難かもしれません。

金融とITの融合“フィンテック”

 日本は銀行法により、金融持ち株会社の子会社の事業を金融に関わる分野に限定しています。現在は、銀行がIT事業を強化したくても、持ち株会社の傘下にIT企業を置くことはできません。このため金融とテクノロジーを融合した「フィンテック」と呼ばれる新サービスが日本では広がりにくい状況になっていました。しかし、このIT企業を置くことが可能になりそうなのです。

 一方、欧米ではフィンテックが急成長しています。個人向けローンやスマホを使った決済などの新サービスなどです。フィンテックの新市場を取り込もうと欧米の銀行はベンチャー企業の買収に動き始めています。日本の銀行も傘下のIT企業を通じて、決済の新サービスが可能になるというわけです。