私は中国の農村でよく見かけられる手押し井戸ポンプを例にして、以下のように説明した。

「手押し井戸ポンプを使って地下水を吸い上げるときは、まずそのポンプにすこし水を入れないといけない。それは呼び水と呼ばれる。この少ない呼び水で地下からはどんどん水を吸い上げることができる。この総合電機メーカーの投資はまさしく呼び水的なものだ。この少ない投資で先陣を切ってこれからより多くの日本企業が海南省に来てもらうようにしたい」

 しかし、海南省に進出したこの新華僑のIT企業は地元ではほとんど放置されたままで、地方政府からは何の支援も受けていなかった。10年くらい経ってようやく海南省政府に気付いてもらえたようで、ハイテク企業への助成金が支給された。もちろん、企業の運営としては、政府の援助ばかりを期待してはいけない。しかし、せっかく地元に進出した外資企業なのに、海南省政府がこれまで示した無関心ぶりはやはりちょっと異常だったと思う。

 おそらくこれまでのやり方に対する反省があったため、海南省政府はこれまで関心を示さなかった普通の企業にも多少は目を向けるよう方向を変えたのではないか、と好意的に解釈したい。

政府はもっと事業環境を整えよと
ネット業界が公開状で指摘

 しかし、このような状態では、若者を海南省に惹きつけることはできない。地元のメディアがある国有企業の責任者の話を報じた。その責任者とともに海南にやってきた清華大学の学生9名のうち、この5年ですでに7名が海南を去り、彼自身の待遇も5年間実質的な変化がない、という。

 最近、海南に来て25年の陳明発氏が図らずも地元の新聞「海南日報」の一面を飾った。これは、このインターネット企業のトップが本社を海口から移そうとしたことが、海南省政府の上層部を驚かせたことに起因する。一連の「指示」のもと、海口市が目下引き留めているところである。

 インターネット業界関係者たちが海南省省長の劉賜貴氏に向けた公開状のなかで、国家戦略である「インターネット+」ブームにおいて政府が変わる必要性について、「政府は企業のために奉仕し、問題を解決し、海南の産業、とりわけインターネットのために良好なソフト環境を築く必要がある」と指摘している。

 しかし、海南が新たな道を探し出すことが可能かどうか、疑うような目で見ている人はまだ多い。