
実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1199人もいる。果たして、どんな顔触れなのだろうか?報酬が、諸外国に比べて低過ぎるという指摘もあるだけに、年収が高いこと自体は批判されるべきではないだろう。ただ、業績や株式市場からの評価が振るわないにもかかわらず、1億円ももらっているのであれば、従業員や株主は心穏やかではいられないかもしれない。そこで、ダイヤモンド編集部では上場企業3890社を対象に、年収1億円以上の経営陣を調査、業界ごとに実名でのランキングを作成した。特集『「最新版」1億円以上稼ぐ取締役1199人の実名! 上場3890社「年収1億円以上幹部」ランキング』(全24回)の#6では、建設業界の報酬ランキングを掲載する。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
建設業界は年収1億円以上が53人!
5兆円企業のあの幹部がトップ
2025年3月期の決算で好業績が相次いで更新したのがゼネコン業界だ。上場するスーパーゼネコン4社の25年3月期の売上高は清水建設を除き3社が前期を上回った。業界1位の鹿島に関しては、工事単価が改善し、売上高が3兆円近い規模にまで伸びた。
ただ、足元では建設費用の高騰が続いており、建設業界の先行きに大きな影を落としている。建設費用が下がらない大きな要因として、専門作業を担う人材の人件費の上昇がある。労務費の指標となる公共工事設計労務単価を見ると、25年3月から適用される公共工事設計労務単価は、全国全職種平均で2万4852円と前年から6.0%上がった。上昇は13年連続となった。
すでに中野サンプラザの建て替えは白紙に、新宿駅南口の高層ビルの再開発事業も未定になったが、建設費の高騰が続けば他の再開発計画も滞る恐れがある。
一方、ハウスメーカーに関しては、建設費用の高騰に加えて、人口減少に伴う国内市場の縮小が喫緊の課題となっている。そんな、外部環境が激変する建設業界で「年収1億円以上」となった経営幹部は、どれほどいて、どんな顔触れなのだろうか?
ダイヤモンド編集部では、経営トップの会長、社長のみならず役員を対象に、年収1億円以上の高額な報酬を受け取っている人物を業界別に集計した。1社から複数人が記載される場合もある。また、本特集では高収入を単純に批判する狙いはない。ランキングには、年収額と併せて、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)、時価総額も掲載しているので、それらに「見合う年収」を得ているかの参考にしてほしい。
集計の結果、建設業界で「年収1億円以上」は53人いることが判明した。トップは5兆円企業のあの幹部だった。
スーパーゼネコンの鹿島、大林組、大成建設、清水建設の幹部たちの1億円プレーヤーは何人いるのか。近年存在感が高まる高砂熱学工業や大気社、三機工業といったサブコンは報酬でも逆転現象がきているのか。また、大和ハウス工業や積水ハウス、住友林業などのハウスメーカーで1億円以上受け取っている役員は何人いるのか。
次ページで実名と共に一挙に見ていこう。