異文化を受け入れる以前に
「年齢」「性差」の問題が

 たとえば、年齢が若いということを理由に発言が採用されない。仕事のスキルが足らずに認められないのであれば合理的だが、年功序列の考えから新人の指摘が受け入れられないことに疑問を感じたという。

 また、営業職を希望していた同期の女性は総務に配属に。同期内では、「お客さんが女性の営業を受け入れないからではないか」と噂されていたという。

 独立してからも違和感を覚えるシーンはあった。たとえばストアマネージャーを探しているときに、投資家の60代男性からしきりに「マネージャーは女性がいい。女性は反発しないし、コミュニケーション力があるから」と勧められたこと。

「僕らは多様性に対してオープンという価値観で採用を行いたかったので、性別を限定する気はなかったんです。結局採用したのは男性でした」

 2020年の東京五輪に向け、英会話の勉強をスタートした人もいるだろう。近年しきりに「ダイバーシティ」は叫ばれている。しかし、国際化という意味での多様性について、阪野さんは言う。

「異文化を受け入れる前に、まだ年齢差別や男女差別の問題があると思います。ステップ1がまだなのに、ステップ2には行けないのでは」

 今回のテーマは「国籍」「人種」だったのだが、指摘されたのは日本に残り続ける「年齢」「性差」の問題だった。

「多様性を知るためには、まず自分が枠の中にいることに気づくことではないでしょうか。枠から出たことのない人は、『自分の常識が絶対に正しい』という前提で話を進めます。異文化に触れてそれなりに失敗した経験のある人は、話すときに『この話は限られた環境の中での話』という気持ちがどこかにあると感じます」

 海外経験など異文化に触れることで自分に「枠」があったことに気づく人は多いだろう。ただ、海外経験を積んでも視野の狭い人はいる、という話も耳にする。枠は一度壊したらすべてなくなるわけでは恐らくない。「自分は枠を壊せた」と思い込めば、それは新たな枠になりかねない。常に枠の向こうには枠があると思いつつ、自分の常識を疑うべきなのだろう。