岸見 親も親で、「あなたのため」などと言わず、「私はあんな人と結婚してほしくない。私の好みじゃないから」と本音で伝えられればいいのですけどね(苦笑)。英語の「person」という言葉はラテン語の「ペルソナ」=仮面という言葉に由来しています。家族それぞれが父親や母親、娘、といった仮面をかぶってそれぞれの役割を果たそうとしているけれど、いったん仮面を外して一個の人間として関わり合えば、いろいろなことが見えてきます。
はあちゅう まさに! 私も、父も母も完璧な存在ではなくて「ひとりの人間なのだ」ということがわかってきて初めて、私は私の人生を歩み始められたような気がします。
岸見 ……とはいえ、親と子の関係は簡単に割り切れないから難しいのです。あまり構えず、簡単には解決しないものだと思っておくくらいでちょうどいいと思いますよ。
(後編に続く)