行動ファイナンスを
投資に応用する方法も紹介
本書は、「第1章 市場の予測と投資家の心理~ファンダメンタル分析、テクニカル分析、そして行動ファイナンス」から始まり、「第2章 投資家の行動は、本当に合理的か?~欲望がもたらす非合理的な現実」、「第3章 市場参加者は、膨大な情報をいかに処理するか?~「ヒューリスティック」による意思決定」、そして「第4章 投資かは、利益と損失をいかに評価するか?~「相対的」な評価とリファレンス・ポイント」、「第5章 投資かは、自らの意思決定こそ正しいと考える~調和とコントロールへの欲求がもたらすもの」と進みます。
「500万ユーロのユーロ買いを入れた為替トレーダー」「ベンチャー投資家」などの心理を思い描きながら、「米国の雇用統計への反応」「二つの異なるアナリスト予想」などへの対応を思いめぐらせる中で、行動ファイナンスのキーポイントを押さえることが出来ます。
そして実践編であり、もっとも面白く読める「第7章 トレーディングで成功するために~行動ファイナンスの応用」に進んでください。この応用編を拾い読みするだけでもいいでしょう。
1.0000ドル/ユーロや1.1000ドル/ユーロといったキリのよい数字も、アンカーリングに関連する。こうしたことも心理的には重要と考えられるのだ。(中略)「キリのよい数字」や「心理的水準」で注文を出してはならない。皆がこの水準に注目しており、取引が非常に活発になる可能性が高いので、トラブルに巻き込まれる可能性が高い。なりぬき注文の場合には、最悪の価格で取引が成立することを覚悟すべし。(171ページ)
行動経済学を象徴するプロスペクト理論(損失の悲しみは利益の喜びよりも大きい)に関連する助言は特に念入りです。
多く投資家は、希望にしがみつき、最後はうまく行くと固く信じ、損失を確定させることをためらう。その結果、大多数の投資家は、購入価格以下になると過度のリスクを取ってしまうとし、こうアドバイスします。思い当たる節のある投資家も少なくないでしょう。
いったん損失を抱えたら、難平買いでポジションを膨らませてはならない。難平買いで平均購入単価を低下されることができても、ポジションンの拡大とともにリスクも膨らむのである。(188ページ)