海外組には補助金も出るが
未だ大きい男子との格差

 なでしこジャパンには海外のクラブでプレーする選手もいる。2011年のメンバーには4人いた。優勝で評価が高まり、海外のクラブに行く選手は増えると思われたが、今回のメンバーでは6人。2人増えただけだ。

 男子の場合、海外、とくに欧州のクラブへの移籍は成功へのルートのひとつだ。活躍すれば日本では考えられないような高額の年俸が得られるからである。しかし、女子はそうもいかないようだ。アメリカは女子サッカー人気が高いが、欧州では観客動員が今ひとつで運営が順調なクラブは少ないらしい。所属しても生活できるほどの報酬は出ないのだ。

 日本サッカー協会は、海外でのプレー経験はフィジカルの強化などプラス面が多いとして、チャレンジする選手に金銭面のサポートをしている。海外強化指定選手制度だ。海外リーグにチャレンジする選手に対し、クラブ移籍時に支度金として20万円を支給。さらにリーグ活動期間は1日につき1万円の日当を支払うというものだ。これでなんとかプレーに専念できるわけである。今回のメンバーでは安藤梢(フランクフルト)、宇津木瑠美(モンペリエ)、岩渕真奈(バイエルン・ミュンヘン)、永里亜紗乃(ポツダム)の4人が対象選手になっている。

 なでしこリーグをはじめとする日本の女子サッカー選手の厳しい状況を紹介したが、海外でも女子選手は金銭面などの苦労を味わいながらプレーをしているようだ。

 それは男子と比べれば分かる。

 女子W杯の賞金総額と優勝・準優勝賞金などを前述したが、男子の2014年ブラジルW杯の賞金総額は5億7600万ドルで優勝賞金は3500万ドル。賞金総額は女子の38.4倍、優勝賞金は17.5倍とケタが違う。当然、出場した選手への分配金も女子より多くなるはずだ(順位にもよるが)。

 また、プロとして活躍すれば、どの国でも数千万の年俸はもらえるし、それが欧州のトップリーグのクラブなら億単位になるのは当たり前。男子は層が厚いから、トップレベルまで上がるのは女子よりも困難だが、金銭面でははるかに恵まれているのだ。

 それでも女子選手はプレーしている。どの国の選手も金銭的な成功を求めているのではなく、好きだからという動機でサッカーをやっているのだろう。

 ただ、世界の頂点を争う戦いを続けているなでしこジャパンの選手が、昼間は他の仕事をしながらプレーをしている状況はやはりおかしい。準優勝し再び女子サッカーに注目が集まった今、関係者はこのチャンスを選手たちの待遇や環境の改善につなげていってほしいものだ。