温和な人柄と笑顔でみんなに好かれているけど、自分からはあまり話をしない「聞き役」タイプの人っていますよね。そんな人がいつの間にか、会話がポンポンはずむ「やり取り上手」になっていたら、びっくりしませんか。「アクティブ リスニング」なら、そんな変身も意外に簡単にできます。

「聞き上手」だけではうまくいかない

 私が10年以上にわたるTVキャスターとしての仕事を通してつくり上げたコミュニケーション・メソッドが「アクティブ リスニング」です。
 その目的は、

相手に気持ちよく話してもらいながら、こちらの考えもさりげなく伝え、信頼関係を築きながら、自分の目標を実現すること。

「アクティブ リスニング」では、「相手に気持ちよく話してもらう」ことを重視しますが、かといってただの「聞き上手」とは違います。
 聞き上手な人は確かに、相手の話にきちんと耳を傾けるので親しみを感じてもらいやすく、相談を受けたり、頼まれごとをされたりしますが、そこから先、なかなか関係が深まっていきません。
 「私はこう思う」「私はこうしたい」ということを伝えないと、相手にとって印象が薄く、「この人、なんだかよくわからない」ということで、関係がそこで止まってしまうのです。

 どうすればいいのか?

 ポイントは、会話にメリハリをつけ、相手の話をさりげなくコントロールするフレーズを使うことです。

 例えば、「聞き上手」な人はソフトな印象を与えることが多いのですが、ここ一番というときには、相手の気持ちに訴えるフレーズを意識してはさむと効果的です。

「本当に○○さんだけが頼りなんです」
→ こう言われて悪い気はしないもの

「どんな質問にもきちんと答えが返ってくるので、お話しするのがいつも楽しみ
です」

→相手への尊敬を伝える

「これができるのは、○○さんしかいないじゃないですか!」
→ 最後のひと押しとして盛りあげる

「あと30秒だけ私に下さい!」
→ 時間を区切ることでこちらの真剣さを伝える

「お願いします。本当に行き詰まっています。どうかお力をお貸し下さい‼」
→ 時には思い切ってプライドを捨てて懇願してみる

 こんなフレーズを聞くと相手も「おや、いつもと違うな。こっちもきちんと話をしないと…」なんて感じるはずです。