私はこれまで、インタビューなどを通して経営者、政治家、学者、投資家など世界のトップリーダー1000人以上にお会いしてきました。その中で、とりわけ周囲に対する影響力が強い、いわば「人たらし」と呼べる方たちがさりげなく使っているスキルがあるのに気がつきました。

「聞く」というスキルの奥深さ

 私が10年以上にわたるTVキャスターとしての仕事を通してつくり上げたコミュニケーションのメソッド、「アクティブ リスニング」。
 その目的は、
相手に気持ちよく話してもらいながら、こちらの考えもさりげなく伝え、信頼関係を築きながら、自分の目標を実現すること
です。

 この「アクティブ リスニング」をつくり上げる過程で大いに参考になったのが、インタビューなどを通じて間近に接した国内外のトップリーダーたちの姿です。
 トップリーダーはいずれも各分野で大きな実績を上げ、地位や名誉もある方たちですが、その中でもさらに、周囲にいる人を一瞬で魅了し、自分のファンにしてしまう「人たらし」と呼べる方がいます。
 例えば、前アメリカ大統領のジョージ・W・ブッシュ氏、世界的な投資家のジム・ロジャーズ氏、日本の政治家では亀井静香氏などです。

 彼らが共通して使っている「人たらし」のスキル、それは「聞く」ということです。
「エッ、それだけ?」
 と、思わるかもしれません。スキルというほどのことではない、と感じられるからでしょう。
 でも、「聞く」というのはとても奥が深いコミュニケーションの技術です。
 相手によって、場面によって、聞き方によって、数多くのバリエーションがあり、上手に使いこなすことで、絶大な効果を発揮するのです。

世界のトップリーダーたちが<br />さりげなく使っている<br />「人たらし」のスキルとは?

谷本有香(たにもと・ゆか)
経済キャスター/ジャーナリスト/コメンテーター
大学卒業後、山一證券に入社、社内の経済キャスターに抜擢されるが、会社が自主廃業となり、フリーランスキャスターの道に。フリーの世界で仕事をさせて頂 くために、試行錯誤しながら見出したのがこの「アクティブ リスニング」。この技術に出合ってからは、十数年にわたって経済キャスターの第一線で活動し、日経CNBCでは初めての女性コメンテーターに抜擢される。 トニー・ブレア元英首相、マイケル・サンデル ハーバード大教授、著名投資家のジム・ロジャーズ氏などの独占インタビューをはじめ、世界のVIPへのインタビューは1000名を超える。 Bloomberg TV、日経CNBCなどを経て、現在はフリーで国内外の著名人インタビューや、金融・経済セミナーのモデレーター、Huffington Post、TABI LABO等でコラムなどを手掛ける。また、テレビ朝日『サンデースクランブル』ゲストコメンテーターとして不定期出演中。2015年4月から、日経 CNBC『夜エクスプレス』アンカー