普段使っている言葉でも、セールス・販売の現場では、致命傷になることがあります。それを知っているだけでも、セールスの成功率は変わります。ご自身の買い物経験と照らし合わせて、セールストークの重要性を考える機会にしてください。
7月17日発売『セールスは1分で決まる!』連載第3回。

セールストークに使わない3つの言葉

たったひと言でも、お客様は買う気を失う

 よくお買い物をしている場面で、耳障りな言葉が聞こえ、違和感を覚えることがあります。

ある営業マンが、
「喜んでいただけると思います」
「すごく良い商品だと思います」
と言いました。

 私は「自信なさそうだな。この人に頼んで大丈夫かなぁ」と感じました。

 皆さんがお店に買い物に行ったときのことを思い出してください。

 何か違和感がありませんか?

「〜と思います」というひと言。

「この色は今後、流行(はや)ると思います」
と言われるより、
「この色、今すごく人気がありますよ」
と言ってもらったほうが、気持ちが乗りますよね。

「思います」という言葉を入れると、お客様との間に第三者が入っているような感じになるのです。

 ですから私は、絶対に「~と思います」という言葉を使いません。

「思うこと」と現実は違うことがあるからです。

「私は、この商品がいいと思います」という言葉は、「じゃ、他の人はいいと思わないの?」とお客様に想像させてしまうのです。

 楽しくお買い物をしていただくには、お客様にマイナスの想像をさせてしまってはいけません。

 さらに、「たぶん」をつける人がいますが、お客様との距離は離れるばかりです。

「この商品を使うとお肌がとてもしっとりしますよ」と、断言します。

「断言する」ことでお客様に安心感を持っていただけますし、お買い物の臨場感を感じてもらうことができるのです。

 私が絶対言わない言葉の2つ目は、「安い」です。

 お客様の価値観や金銭感覚は人それぞれです。

 1000円でも高いと感じる人もいれば、1万円でも安いと感じる人がいます。

 価格だけで、高い安いという判断をこちらがしてはいけません。

「この美容液、8000円なんですよ。安いでしょ」
と言ったら、
「8000円なんて高いよ。宮崎さんはお金持ちなのね」
と言う人がいれば、
「私は今まで2万円の美容液を使っているのに、8000円なんて安い美容液で効果あるのかしら」
と言う人もいるのです。

 お客様にとって大切なのは、価格そのものより、
「この商品に○○円払う価値があるのか!」
さらには、
「値段以上の満足を得られるか!」
です。

 お客様に伝えるのは、「価格」ではなく「価値」です。

 価値を伝えたうえで、「高いと感じるか、安いと感じるか」は、お客様次第なのです。

 もちろん、買い物をするうえで、価格は購入決定の大きな判断材料になりますが、先に商品の価値を話さないと、その価格は「高いのか、安いのか」お客様は判断できません。

 たとえ、20%オフとうたっても同じことです。

 定価より安い、お買い得ということは、すでに商品の価値を知っているリピーターのお客様には有効ですが、商品の価値を知らないお客様には、意味がありません。

 定価より安いということは事実であっても、「20%オフの価格が支払う価値があるものなのか? 高いのか、安いのか」はお客様が判断することです。

 最後の3つ目は、「いかがですか?」です。

 理由は簡単です。

 私が、お店に買い物に行って、店員さんに、
「この商品、すごくいいですよ。宮崎様、いかがですか?」
などと言われたら、帰りたくなるからです。

「いかがですか?」と聞かれたら、買うか、買わないかの返答をすぐにしなくてはいけません。

 お客様は追い詰められてしまうのです。

 商品を買う、買わないを決めるのはお客様、いつ買うかを決めるのもお客様なのです。

 すぐに買う決断の早い人もいれば、すごく迷って買う人もいます。

 散々迷って、今回はやめておこうという人もいます。

 それはお客様の自由なのです。

 答えを催促してはいけません。

 実際、何人ものお客様から、
「宮崎さんは、『いかがですか?』って言いませんよね」
と言われました。

 私自身が、「お客様、いかがですか?」という言葉を出したら、迷っている人や、ゆっくり考えて買いたいと思っている人は、楽しくなくなるのです。

 機会は今だけじゃない! 次があるのです。

 機会そのものをなくしてしまったらダメなのです。

POINT

「思います」「安い」「いかがですか?」は絶対NG。
お客様に気持ち良くお話を聞いていただくために、
言葉遣いには気をつけましょう!