・「失敗しても、何度でも挑戦できる」という文化がある。

・軍需産業の規模が大きく、スタートアップにとっても安定した収益源になる場合が多い。それを基盤に民生向けへの事業転換を検討できる。

・若い世代が投資に対して積極的な考え方を持っている。起業して会社を成功させた後は事業をエグジット(売却)し、その売却益で投資家になりたい、という声が多い。

(2)自動車関連のスタートアップが増えている理由

・従来、自動車開発についての研究開発はさほど盛んでなかった。2000年代後半、スマートフォンの登場、及びクラウドサービスの高度化と廉価化によるコネクテッドカー時代となり、新規IT分野として自動車向け・交通事業向けの研究開発が盛んになった。

・グーグル、アップル等の米IT大手がスマートフォンと車載器との連携プラットフォーム開発、車載OS(オペレーティング・システム)開発、さらに自動運転やEV(電気自動車)の量産に向けた動きを加速させるなか、グーグル等のイスラエル拠点がイスラエル国内の優秀なスタートアップを“青田買い”するようになった。そのため、スタートアップは、エグジットの対象としてコネクテッドカー関連の事業を立ち上げる傾向が高まった。

なぜいま自動車産業界でイスラエル企業が注目されているのか?イスラエルで成功したスタートアップスのひとつ、モービルアイ社のCEO、Ziv Aviram氏。そもそも日本の自動車メーカー向けの開発として始まった企業 Photo by Kenji Momota

・衝突軽減の自動ブレーキ、車線逸脱防止の自動ステアリング等、ADAS(アドバンスド・ドライバー・アシスタント・システム)に対する日米欧中での法整備の動き、また“ドライバーレス(無人)”の完全自動運転の実現に向けた動きが加速するなか、イスラエルのスタートアップとして、Mobileye社の事業が急拡大している。同社は単眼カメラ向けのソフトウエア開発企業で、日欧米の主要自動車メーカーの約9割にSoC(システム・オン・チップ)と呼ぶ制御装置を供給している。Mobileyeの成功に刺激され、自動車IT関連のスタートアップを起業する傾向が高まった。

(3)日系企業がイスラエルのスタートアップに注目する理由

・安倍首相が2015年1月、イスラエルを訪問。その際「あらゆる分野で深化している二国間関係の内、特に経済面の進展には目を見張るものがあり、『イノベーション』を経済成長のエンジンと位置づける日本が、革新的な技術を生み出すイスラエルと協力しない理由はない」(外務省発表の内容より抜粋)と述べている。同訪問に先立ち、イスラエルのネタニヤフ首相が2014年5月に経済ミッションを兼ねて日本を訪問。2014年7月に茂木敏充・経済産業大臣(当時)がイスラエルを訪問し、産業分野の研究協力に関する覚書を交わしている。