引き金となった中国経済は
数ヵ月以内に改善に向かうが…

 足元の経済・金融市場の動向を一言で表現すると、「恐れていたチャイナリスクが顕在化した」ということだ。

 中国の経済状況は、昨年の年央以降かなり減速していた。リーマンショック後に政府が行った4兆元の景気対策の結果、設備投資が活発化し、鉄鋼やセメントなどの在来産業分野を中心に供給能力が大きく高まった。

 ところが、その生産能力に見合う需要が見当たらない。過剰生産能力を抱えることになる。それは、企業間の取引価格を示す卸売物価指数が、40ヵ月以上も連続してマイナスに落ち込んでいることを見ても明らかだ。

 中国政府は、今までそうした経済状況をできる限り糊塗してきた。しかし、ここへ来て株価が急落したこともあり、隠し続けられる範囲を超えた。人民元の実質的な切り下げを行ったことも、政府の慌てぶりを露呈する事例と言える。

 タイミングが悪く天津の爆発事故が起きたことで、国民の間では政府の安全対策などに不満が高まっている。そうした不満の矛先が共産党政権に向かないためにも、これから習政権はなりふり構わず景気対策を実行するだろう。

 恐らく、そうした景気対策の効果もあり、これから数ヵ月以内に中国の経済状況は改善に向かうと見る。同国は共産党の一党独裁体制であり、意思決定のプロセスは手短に済む。また、財政状況は主要先進国の中では相対的に良好であり、思い切った対策の実行が可能だ。

 ただ、短期的な景気対策で、経済構造の転換など本源的な問題を解決することはできない。一人っ子政策の影響もあり人口構成が崩れ、労働力人口の減少が始まる中国の経済は、いずれ大きな“壁”に当たることになると見る。