経営危機で一旦は上場廃止へ
復活を牽引した「消費者目線」回帰

 今でこそ「東の東京ディズニーリゾート、西のUSJ」と呼ばれるまでに成長したUSJだが、その歩みは決して順調なものではなかった。

 USJにとって今回計画している上場は二度目となる。2007年に初めて東証マザーズに上場した際は、株価が一時9万900円まで上昇したものの、2008年末には2万円台まで下落。オープン初年度に1000万を超えていた入場者数が750万人まで減少した2009年、ゴールドマン・サックス社のTOBにより、わずか2年で上場廃止になった経緯を持つ。

 しかし紆余曲折を経て、数年後に客足は復調軌道に乗り、現在に至る。今回の再上場で、株価は初回上場時の約10万円から、20万円と予想する専門家もいる。復活劇の背景には、2011年にマーケティング担当に就任した森岡毅執行役員を中心とした、徹底した来園者目線で繰り広げられたマーケティング戦略の成功があった。

 USJは、アトラクションやショーなどコンテンツ面の拡充に取り組み、2010年には映画『ハリー・ポッター』シリーズのエリア開業に約450億円を投資、結果として過去最高の来場者数と経常利益を叩き出した。

 ダイヤモンド・オンラインが昨年行ったインタビューで、森岡執行役員は「映画の専門店」として行ってきた同パークのブランディングを「誤ったこだわり」と切り捨てた。その根本にあるのが、世界最大の一般消費財メーカーP&Gで培われた消費者マーケティングの視点だった。USJとしばしば比較される東京ディズニーランドに対抗するために選択してきた本格派志向のブランディングが、一般消費者の感覚とズレ始めていることに気がついたのだという。

 そこでUSJが打ち出したのが、「世界最高のエンタメを集めたセレクトショップ」というコンセプト。それまで大人の映画ファンに限られていた顧客層を3~6歳の子どもを持つファミリー層や若い女性へ拡大するために、大人気漫画『ワンピース』をテーマにしたショーの告知や、ゲーム『モンスターハンター』のイベント化に注力したほか、園内に散らばっていた『セサミストリート』『スヌーピー』など子ども向けアトラクションを集約し、エリア化した。

 このような施策は、コストを抑えたまま高い集客力を実現、短期間でキャッシュを生み出した。このキャッシュを活用して、『アメージング・スパイダーマン』、そして前述した『ハリー・ポッター』などの本格派アトラクションに大規模な投資を行い、成功したのだ。まことしやかに囁かれた経営の危機を脱し、USJは名実共に日本有数のテーマパークへと育った。