「私が13歳のとき、宗教の先生が、何によって憶えられたいかねと聞いた。誰も答えられなかった。すると、今答えられると思って聞いたわけではない。でも50になっても答えられなければ、人生を無駄に過ごしたことになるよといった」(ドラッカー名著集『非営利組織の経営』)
ドラッカーは続けてこういう。
「運の良い人は、私の宗教の先生・フリーグラー牧師が問いかけてくれたように、この問いを人生の早い時期に問いかけてもらい、一生を通じて自らに問い続けていくことができる」
したがって、このコラムを読まれた方は、ドラッカーのいう、運の良い人に相当することになる。
1年に2度、たとえば自分の誕生日と、大晦日に、この問いを自らに問いかける。この問いかけは、「それだけで、3年後5年後には仕事が変わる、人生が変わる」魔法の問いかけである。
まさか、横綱・朝青龍を投げ飛ばした男として憶えられたいなどと考える人はいないはずである。誰もが、今の自分よりも、ちょっとだけ良い自分、誇れる自分、すばらしい自分、しかし、なりうる自分を思い描く。
すると、毎日の一挙手一投足がそちらに向かう。
「今日でも私は、この問い、何によって憶えられたいかを自らに問いかけている。これは、自己刷新を促す問いである。自分自身を若干違う人間として、しかしなりうる人間として見るよう、仕向けてくれる問いである」(『非営利組織の経営』)