熾烈な価格競争が続くテレビ市場。ドイツ・ベルリン市内で開催中の国際家電見本市「IFA2015」の会場で、パナソニックの品田正弘事業部長が週刊ダイヤモンドなどのインタビューに答え、競争力強化に向けた取り組みなどについて語った。(聞き手/週刊ダイヤモンド編集部 中村正毅)

──IFAにおけるテレビ展示のアピールポイントは何か。

品田正弘(しなだ・まさひろ)1/965年生まれ、千葉県出身。88年早稲田大商卒、同松下電器産業(現パナソニック)入社。マーケティング本部、パナソニックマーケティングブラジル社長を経て、15年4月から現職。49歳。
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 我々だけが、プラズマと有機ELなどの画質比較をする暗室を持っている。こういうブースは他社にはない。プラズマテレビで市場の高いポジショニングを一度は持ち、その後パワーが落ちたが、そこから復活したというパナソニックの画質の哲学を、是非見てもらいたい。

──欧州での事業展開は。

 10月に4Kの有機ELテレビを発売する。価格は今回の商談を踏まえて決めようと考えているが、韓国・LG電子は9000ユーロで出していることもあり、価格帯は最高位になるだろう。

 LGとはそもそも画像エンジンの性能が違うし、差別化はしっかりできている。ようやく今年度から液晶での商品力が認められ始めたというフェーズだ。

 欧州はメーカーとしてのものづくりの深さをじっくり見られている市場なので、そこでパナソニックらしさ、モノづくりの哲学を存分に出し表現していかないといけない。

──曲面型のカーブドテレビが業界で急速に広まったが、今後はどういう位置づけになるのか。

 もともと流行り廃りがあるとは思っていたが、それが一つのバズワードになっていた側面もある。テレビの進化のスピードが落ちている昨今、新しい提案として各社は製品を出したかっただろうし、昨年まではそれが差別化の要因になっていた。ただ、それも今は落ち着いてきている印象だ。

──テレビ事業の戦略の軸は何なのか。

 テレビは価格競争だ、なんだと言ってボリュームのあるゾーンから逃げると、はっきり言ってビジネスにならない。そこはしっかりやっていく。

 また、どれだけ効率よく事業をオペレーションできるのかというのは、まだ課題があると感じている。パネルの在庫の持ち方などそこはしっかりやりながら、自分たちが意図する場所から逃げないということだ。

 さらに、少ない販売台数でも事業が成り立つようにフレームをつくる。600万台、700万台で利益が出るようにすることも大事だが、一方で事業を継続する以上、中期的には市場の5%、1000万台というのは視線に入れていきたい。