ただ、この「言いにくいことを言う」ことができるかできないかは、職場での信頼や評価を左右します。これができないことによって、社内での居心地も悪くなり、やがて働き続けることが難しくなるケースにも繋がっていきます。

「退職したい」というのは、最も伝えにくいことと言っていいでしょう。ですからそれを恐れすぎて、直接話すのを避けるために行方をくらませる行動につながってしまうのです。

 やらないといけないと分かっているものの、自分の中でそれを抑制する声が聞こえて行動を抑制してしまう。例えばコーチングの世界では、そういった自分の行動を抑制するものを「サボタージュ」と呼んでいます。言わなければいけないことがあるにもかかわらず、「これを言ったら何て言われるだろう…」というような、自分の中から聞こえる声がまさにサボタージュです。冒頭の内々定辞退を言い出せない学生も、退職の意思を伝えられない若手社員も同様のケースだと思います。

 もちろんこの声は自分自身を守るためでもあり、必要な場面もありますのでサボタージュ自体を否定している訳ではありません。しかし企業の中で働くにあたって組織全体や社会に対して貢献をしなければならない以上、自分自身にだけベクトルが向いてしまうのは、時に問題を大きくしていくだけではないかと思うのです。

 トンデモな辞め方はあくまで表面的なことであり、もっと深い所では自分自身を過剰に守るという防衛本能が強まっているからです。その自分の声にどう対処していくかが重要であり、それこそが社会人としての成長につながるのではないでしょうか。

若手社員が報告をしやすい環境を
作れるような人材育成と関わり方

 相手のことを思いやりながら伝える方法として、アサーティブコミュニケーションやDiSK(タイプ別コミュニケーション診断)など、数多くの手法があります。いずれにしても共通して言えるのは、良いことも悪いことも、まず声に出して伝えてみるのが重要だということです。