実質的な自治体負担額が激減したせいか、人口10万人以下の市での、大盤振る舞いが目立ちます。

 そしてその建設基本計画で謳っていることは、いずこも同じ。「(1)市民に開かれた市庁舎」「(2)ホスピタリティとユニバーサルデザイン」「(3)環境に優しい」「(4)長期使い続けられる」、そして「(5)防災・危機管理拠点」です。

(1)と(5)が合わさって、市庁舎はたいてい「災害時の避難場所」にもなっています。1階に広いロビーや食堂を配置し、いざとなればそれらが市民の避難場所となる訳です。一石二鳥のデザイン!

 あれ、本当にそれでいいのでしょうか?洪水時には浸水しかねない1階に「ダイジな命」を大量に抱えてしまっていいのでしょうか。

自治体庁舎は本当に「防災拠点」たるべきなのか?

 自治体庁舎はアクセスの利便性や建て替え時の用地取得問題があって、簡単に「高台移転」とはいきません。存外、危険な場所にあるのです。そしてそこにすべての機能を詰め込もうとするのも、合理的ではありません。

 それが今回の常総市庁舎浸水・孤立から学ぶべき最大の教訓ではないでしょうか。

 ようやく孤立が解消された数日後、疲れた顔をした男性がテレビの取材に答えて曰く、「安心だと思って早めに市庁舎に来た。浸水する可能性があるならそう言ってほしかった。逃げる時間は十分にあったのに」

 洪水時の避難場所から市庁舎はそもそも外すべきでした。市民が避難してきても、より適切な場所に誘導すべきでした。嵐の中で、あろうとも……。

 そして「災害対策本部」として機能させたいなら、洪水に負けないインフラを整え、オペレーションするべきでした。

 でもしつこくもう一度。

 こういった教訓は、他山の石として他の自治体や住民が、活かさなければ意味がありません。折角つくったその新庁舎を、活かすも殺すも自治体職員と住民たち次第なのです。

参考サイト・図書
日刊建設新聞
・各自治体HP
・「小貝川の治水と洪水の歴史防災コラム、水谷武司氏

お知らせ
常総市役所の衝撃!<br />自治体の新築庁舎は本当に頼れる防災拠点か?
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