Photo by Yoriko Kato
3年半前に起きた東日本大震災で、児童74人と教職員10人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校の惨事。これを巡り、児童の命を無条件に守る義務があった学校が、事前の防災体制の不備や危険回避を怠ったなどとして23人の児童の遺族19家族が市や県の責任を問う国賠請求等の訴訟を起こした、第2回弁論が8月26日、仙台地裁(高宮健二裁判長)で開かれた。
市側は「危険性は予見できなかった」と主張
学校裏山の傾斜角度ついても測量を要求
被告の市側は、教職員に安全配慮義務があったことは認めつつも、津波の具体的な危険性は予見できなかったなどと主張する準備書面を提出。「大川小の裏山を危険とみなした時点で、避難路として選択する可能性は限りなく低かった」ものと推測した。
これに対し、原告は、市側が根拠としてたびたび引用する検証報告書の記述を「信用できない」として、検証報告の認定の前提となる資料の提出を求めた。
被告側代理人は「市が資料を持っているかどうか確認したい」と回答。市が持っていないなどと主張した場合、原告は「裁判長からの文書提出命令を申し立てせざるを得なくなる」ことも示唆した。
一方、被告は、裏山の傾斜度を測量する方向で、当事者、裁判所の3者間での協議を主張。それに対し、裁判所はせっかく測量するのなら、ハザードマップの津波浸水予測図との関係から、大川小学校周辺の現場の高低差も計測するよう両当事者に提案した。
安全配慮義務があったと認めつつも
「大川小まで浸水は想定できなかった」
また、原告は、現場から唯一生還した教諭で休職中のA教諭について、診断書などの休職の根拠がわからないと訴えた。
被告は、「A教諭とは会えない状況がいまも続いている」とはぐらかすと、原告は「今年の6月にも(大川小の)現校長が面会している」と指摘。被告は、次回進行協議のある10月21日の「1週間くらい前までに、提出できるよう頑張ります」と答えた。