どうすれば、マスコミがくるか?
広瀬 節電を促すような金融商品を、色々開発したそうですが、どんなものでしたか。
吉原 原発廃絶を訴えようと思ってもマスコミは取り上げてくれません。
そこで新商品をつくり出すのはどうだろうと考えました。報道機関は新商品なら報道しやすいのです。
ゴールデンウイーク前の2011年4月28日に「節電三商品」を発表し、5月2日の月曜日から窓口での取り扱いを開始しました。
広瀬 節電三商品?
吉原 「節電プレミアム預金」「節電プレミアムローン」「節電応援 信ちゃん福袋プレゼント」の3つです。
「節電プレミアム預金」は、省電力および省エネルギーのために10万円以上の設備投資を行った個人のお客様を対象に、通常は0.03%の1年ものスーパー定期預金(一世帯最大100万円)の金利を1%にするというものです。
「節電プレミアムローン」は、ソーラーパネル、蓄電池、自家用発電機、LED照明を新たに設置するお客様をサポートする個人向けローンです。最大300万円を最初の1年間は金利0%、2年目以降は1%で融資します。
「節電応援 信ちゃん福袋プレゼント」は、前年比で30%の節電に成功した個人のお客様が、電気料金の明細書を持ってきてくだされば、信用金庫のキャラクターである信ちゃん貯金箱と福袋をプレゼントするというものです。
広瀬 「節電プレミアムローン」の「最大300万円を最初の1年間は金利0%」というのは、金融機関としては大変な決断ですね。
吉原 当初から赤字になるのは織り込み済みでした。それでもマスメディアに注目してもらい、原発ゼロ実現への断固たる決意を示すことが何よりも大切だと考えました。「節電応援 信ちゃん福袋プレゼント」には、こんなメッセージを記したパンフレットも同封しました。
「原発はとてもリスキーなものなので、原発に頼らない安心な社会をつくりましょう」
いいでしょ。子どもたちにも興味を持ってもらい、わかりやすいように、商品で注意を惹いて、パンフレットで言いたいことを伝えました。
営業活動は同時に社会を変革する活動につながります。85の店舗ネットワークと渉外活動の営業を使って、商品の推進と同時に原発を止めようというキャンペーンを行いました。
広瀬 吉原さんのすばらしいところは、こうした具体的な行動によって、一般の方を原発反対に導いているところです。
次回は、原発とは、国家ぐるみの壮大な「粉飾決算」である、というテーマでお話しさせていただければと思います。
(つづく)