いかに情報を利用するかがこれからはカギに
佐藤 今の子どもたちの場合、必要とされる学力も昔とは違ってきていますよね。
出口 そうですね。私たちが勉強していた頃は、細かい知識をどれだけ詰め込むかが重要だったけれど、今は何でもインターネットで検索できてしまう。コンピューターがやってくれるから計算できなくても困らないし、漢字だって自動変換でしょう? 覚える必要がない代わりに、どんな情報を得てどう利用するかが大事になってくると思うんです。
佐藤 なるほど。
出口 でも、そこで勘違いしてはいけないのが、ちゃんと頭の訓練をしていないと、せっかくの情報も利用できないということ。そのためには、集中的に覚えるとか、頭を使って自ら考えることが必要になってくる。
佐藤 私もそう思います。「法教育」という形で、法律の考え方や法律を子どもたちに教えにいくことがあるんですが、そこで私が大切にしているのは「思考力」なんです。思考力って、先生もおっしゃっている論理にも通じていて、論理的な思考がなければ創造性も生まれない。でも論理力を磨くのってなかなか難しいですよね。
出口 それには、現代文を解くことが実は有効なんです。これは大人にこそやってほしいですね。現代文の入試問題は評論文ですから、主張に対して論証している。自分が論理的に読めたかどうかは、設問を見ればすぐに試すことができるんです。社会人にとって最も効果的なやり方だと思っています。
佐藤 勉強だけでなく、いろいろなことに応用できますよね。これからの時代には、本当に大切になってくると思います。