発売1週間で、1万部の増刷となった『ずるい暗記術』。前回は、「問題を解かずに、答えを見る」という勉強の順序を紹介しました。問題を解いて理解しようとすると、分からなくなり、勉強が長続きしません。答えから見ていけば、無理して理解をしなくても、おのずと理解につながっていくのです。
では、暗記を何のためにするのか? それは、人間の脳の構造に関係します。どんなに覚えても人は忘れるようにできているので、ここでは、暗記の訓練方法を紹介します。
第1章「『理解』せずにひたすら『答え』だけを見る」より、一部抜粋して紹介します。
覚えても忘れるから、暗記が必要なのです!
「答えを暗記することが大事とわかっていても、すぐに忘れてしまう」
「記憶力に自信がないから、そんなにたくさん覚えられない」
そんなふうに思う人は多いでしょう。
でも、忘れることを恐れる必要はありません。
人間とは、そもそも忘れる生き物なのです。
これは、さまざまな書籍や科学の分野でも証明されている事実です。
「エビングハウスの忘却曲線」が有名ですね。知らない人のために、簡単に説明しますと、勉強した20分後に42%忘れ、1時間後には56%、さらに、1日後には74%忘れるというものです。
それに基づいて考えれば、暗記は、忘れないためにするのではなく、忘れるから必要なのです。忘れてしまうことを気にせず、忘れることを前提にした暗記術にシフトしていけばよいだけなのです。
私はかつて、教科書を1ページ1ページ丁寧に読んで覚える、という勉強法を実践していました。ところが、1ヵ月くらい経ったところで思い返してみると、最初のほうのページの内容をまるで覚えていませんでした。
ノートにきれいにまとめることもやりましたが、まとめるのがメインになってしまい、肝心の内容はまったく覚えていなかったということもありました。
そういった失敗を経て、教科書や参考書を読むときは、時間をかけず、全ページをパラパラとめくるようにしました。これを繰り返すほうが、1ページずつじっくり読むよりも断然記憶に残っているのです。
もう一つ、効果的だったのは、朝と夜の「記憶出し入れ術」です。
本書でくわしく解説していますが、その日やったことを夜、短い時間で復習し、翌朝、それをもう一度思い出すだけのシンプルな方法です。
これを日々繰り返すことで記憶が定着し、勉強の効率もグッと上がりました。
つまり、
長い時間×勉強量=記憶力
ではなく、
短い時間×回数×勉強量=記憶力
これこそ、記憶を定着させる絶対の公式です。
繰り返すことによって、忘れる量を上回る情報を頭に入れていけばよいのです。
当然のことのようですが、これができていない人があまりにも多いといえます。