繰り返すことで記憶を体になじませる
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出口 では、「忘れてはいけない」というシグナルをどうやって脳に送るのかというと、忘れないうちに反復すること。
たとえば、中学一年で記憶したとして、それを6年後の大学受験のときまで維持するのは普通はできないでしょう。ということは、その間に繰り返し記憶して、体に覚えさせるわけです。
佐藤 私も、まさに繰り返すことで覚えていました。本にも書きましたが、「夜寝る前に覚えたことを朝もう一度思い出す」という方法が、シンプルだけれどすごく効果がありました。これも、寝ている間に脳が記憶を定着させてくれるという脳科学に基づいたやり方です。
出口 そうやって繰り返すことで、記憶は自分のものになっていく。記憶にもレベルがあって、これは「セレゴ・ジャパン」という会社のサイトの記憶システムなんですが、レベルを4段階に分けて、その最後の段階を「オートマティック」と呼んでいるんです。訳せば、「自動的」ということになるんだけど、つまり、思い出そうとしなくても自然に出てくるくらい習熟しているレベルということ。さっき話した、繰り返し記憶して体に覚えさせるというのは、こういうことなんです。
佐藤 私も同じことを「思考力ゼロ術」と呼んで、究極のアウトプットと定義づけています。
出口 そのいい例が「言葉」です。普段毎日使っているから、何も考えなくても出てきますよね。これが英会話になると、そういう環境が日本ではつくれないから、なかなかオートマティックまで持っていくことができない。だから難しいんですよ。
佐藤 そう思います。逆に、何も考えずに出てくるレベルまでいけば、使える知識になるということですよね。
出口 そうですね。このような記憶術は、受験勉強だけでなく、社会人になってからも重要だと思います。さらにいうと、すべての記憶が習熟レベルになる必要はなくて、本当に覚えるべきことだけ覚えるようにするのがポイントなんですよね。