必要なものとそうでないものを選別して覚える

佐藤 今、先生のおっしゃった、知識の選別ってすごく大事だと思うんです。必要なものもそうでないものもごっちゃにしていると、なんでもかんでも覚えなくてはいけないと思ってしまうじゃないですか。

出口 前回も言いましたが、今は記憶よりも情報の時代ですからね。覚えなくていいものがどんどん増えてきているんじゃないかな。

佐藤 だから、覚えることと調べればいいことを把握する必要がある、と。

出口 そう。ちゃんと核になる記憶、知識がないと、物事は理解できないから、それに関しては徹底的に覚える。細かい部分はもうあえて覚えない、くらいでないと。法律の分野でも、法律の精神やルールは頭に入っていないといけないけれど、細かい事例などはあとから調べられますよね。

佐藤 その通りです!

出口 ITの発達した時代だからこそ、本当に必要なものだけ完全に身につけて、それを一生忘れないというのが大事になっていくと思います。

佐藤 先生の本に、「記憶の整理整頓が大切」とありましたよね。私の本では「自分の頭の中に『知識の図書館』をつくる」という言い方をしているんですが、記憶や知識を漠然と頭の中に置いておくのではなく、論理的に整理しておくことは、勉強だけでなく、生きていく上でも大事なことだと思うんです。でも、それを意識していない人が多いのかな、と。

出口 意識以前に、そのこと自体を知らない人があまりにも多いように思いますね。私は、そういう人たち、普段本を読まないような人たちもぜひ知ってもらいたくて、イラストを使うなど読みやすい工夫をしてこの『出口汪の「最強!」の記憶術』を作ったんです。

 佐藤先生の『ずるい暗記術』も、作り方は違うけれど、やはり、普段本を読まない人も読んでみようかなと思えるような面白さがありますよね。何より、佐藤先生そのものにドラマがある(笑)。

佐藤 ははは。でも、そうですね。勉強法の本と聞くと躊躇してしまうかもしれませんが、単にテストの点数を上げるとか、資格試験に合格するためだけでない、もっと多様なことを学べるということ。今後どう学んでいこう、どんな道に進もうと考えるきっかけにもなるのかなと思います。