行動経済学で解き明かす
投資家が陥りやすいワナ

 山本さんのような「負け組」の投資家が現れるのは、今回の乱高下が特別だったからではない。投資家は常に、同じような失敗を繰り返しているのである。その失敗を行動経済学の視点から検証し、アドバイスしているのが、経済コラムニストの大江英樹さんだ。

「底値だと思って買ったらもっと下がった」という山本さんの行動は、行動経済学的に分析すると、「現状維持バイアス」のわなに陥っている。これは、特に根拠がないにもかかわらず、今と同じ状況が続いていくと思い込んでしまうこと。

 株価の上昇が続いているときに、それがずっと続くと思い込み、資金をどんどん投入し、最後に急落した際に大損するような場合だ。

 株価が下落して含み損が拡大しているのに、含み損が小さくなることを期待して損切りせず、保有し続けてしまう。誰しも身に覚えがあるのではないだろうか。

 これは、プロスペクト理論の「損失回避」という心理状態。投資家が最も陥りやすいわなの一つだ。この考え方によると、損した金額ともうかった金額がたとえ同じ場合でも、損した悔しさの方がもうかったうれしさよりも2倍大きいという。

 それ故に、利益が出ている局面ではそのもうけを確実なものにしたいという欲求が強く、逆に損をしているときには、何とかその損をなくしたいという気持ちから賭けに出たがる。

 特集本編では、このほかにも「狼狽売り」や「高値掴み」をしてしまう心理状態を解明し、大江さんがそうしたわなに陥らないための処方箋を提示しています。ぜひご覧ください。