それから三人は学校へと戻ってきた。今度はモノレールを使わず、試しに歩いてみた。
すると、だいたい四〇分の道のりだった。
 道すがら、三人はこれからの野球部について話し合った。
「まずは選手を集めないと──」と公平が言った。「それに、グラウンドの整備もしないとね」
 すると、それに対して真実が言った。
「その前に一つ、だいじなことを忘れてません?」
「なに?」
「私たちも、文乃先生みたいに経営の勉強をしないと」
「確かに。じゃあ、まずはドラッカーの『マネジメント』を読むことから始める?」
「それも悪くないとは思うんですけど──」と、真実が目を伏せて言った。
「ん?」
「せっかくだったら、新しいことを始めたいなって」
「新しいこと、って?」
「ドラッカーの『マネジメント』だと、文乃先生の二番煎じになっちゃって、面白くないと思うんです。私たちは、その先を行かないと」
「……というと?」
「私たちは私たちの、新しい『本』を読みたいなって」
「おお!」と公平が感心した顔で言った。「いいねえ! 新しいことするの、おれも好き」
「ですよね!」と真実もパッと顔を明るくして言った。
「でも──」と、そこに夢が割って入った。「新しい本って、一体何を読むの?」
 すると真実は、にやりと笑ってこう言った。
「実は、もう見つけてあるんだ」