「よいリーダー」はジャッジメントを手放せる

 リーダーとして非生産的な状況に陥っているときは、そこにどんなジャッジメントがあるかを考えてみるだけでも、事態が改善するでしょう。

「よいリーダー」とは、ジャッジメントを上手に手放せる人のことです。それは、自分のジャッジメントは今の自分の主観に基づくものに過ぎない、と認められるということです。

 ジャッジメントにとらわれていく自分の姿を見つけることができれば、それが手放しの第一歩となります。

 その際のポイントは、ジャッジする自分に落ち込んだり、言い訳したりしないこと。

「ああ、自分は今、こんなジャッジメントをしているんだな」と、そのままの自分を見つめれば十分です。

「だって」と言い訳したり、ジャッジする自分に落ち込んだりしていたら、いつまでたっても「手放し」に到達することができなくなってしまいます。

 ジャッジメントする自分をジャッジメントしていたら、「複合汚染」になっていくばかりです。

「今までずっとジャッジメントの世界にいたのだから仕方ないな。でも、手放せるよう意識を持っていこう」で十分なのです。

※つづきは、12月17日(木)に掲載。

水島広子(みずしま・ひろこ)
精神科医
1968年東京生まれ。慶應義塾大学医学部卒業、同大学院修了(医学博士)。
摂食障害、気分障害、トラウマ関連障害、思春期前後の問題や家族の病理、漢方医学などが専門。
「対人関係療法」の日本における第一人者。
慶應義塾大学医学部精神科勤務を経て、現在、対人関係療法専門クリニック院長、慶應義塾大学医学部非常勤講師(精神神経科)、国際対人関係療法学会理事、アティテューディナル・ヒーリング・ジャパン(AHJ)代表、対人関係療法研究会代表世話人。
2000年~2005年 衆議院議員として児童虐待防止法の抜本的改正をはじめ、数々の法案の修正実現に尽力。精神科専門医、精神科指導医(日本精神神経学会)、精神保健指定医、日本認知療法学会幹事、日本うつ病学会評議員、日本摂食障害学会評議員、日本ストレス学会評議員。心の健康のための講演や執筆も多くこなしている。
主な著書に『女子の人間関係』(サンクチュアリ出版)、『怒りがスーッと消える本』『小さなことに左右されない「本当の自信」を手に入れる9つのステップ』『身近な人の「攻撃」がスーッとなくなる本』『大人のための「困った感情」のトリセツ』(以上、大和出版)、『十代のうちに知っておきたい?折れない心の作り方』(紀伊国屋書店)、『プレッシャーに負けない方法―「できるだけ完璧主義」のすすめ』(さくら舎)など、多数。