最近は多くの国際競技連盟(IF)が国際大会をシリーズ化し、そこで得たポイントで選手を世界ランキング化するということを行っている。トップ選手は各国で行われるポイント対象試合を転戦する生活を送っているわけだ。

 そして年末には、ランキング上位者(多くは8位まで)によって、その年の実力ナンバー1を決める「〇〇ファイナル」なるビッグイベントが行われるようになった。錦織圭が昨年・今年と連続出場して注目された「ATPワールドツアー・ファイナル」や羽生結弦や浅田真央が出場する「ISUグランプリファイナル」などがそうだ。

 先週末は3競技のファイナルが一斉に行われ、いずれも日本選手が頂点に立つという快挙を成し遂げた。

フィギュア、バドミントン、
卓球で日本選手が頂点に

 フィギュアスケートの「グランプリファイナル」では羽生結弦(ANA)が完璧な演技を見せて3連覇を達成。しかも330.43という驚異的な得点を記録し、世界から喝采を浴びた。バドミントンの「BWFスーパーシリーズ・ファイナル」では男子シングルスの桃田賢斗(NTT東日本)、女子シングルスの奥原希望(日本ユニシス)がともに優勝。世界王者になった。また、卓球の「ITTFワールドツアー・グランドファイナル」では男子ダブルスの大島祐哉(早稲田大)・森薗政崇(明治大)組が世界の頂点に立った。

 他を圧倒する異次元ともいえる演技を見せた羽生が称賛されるのは当然だが、バドミントンの桃田と奥原、卓球の大島・森薗組の優勝だって大変な偉業である。

 同じラケットスポーツでも世間の目は錦織が出場するプロテニスのファイナルに集まる。錦織は昨年、ファイナルに初出場を果たしベスト4。今年は1次リーグで2敗し、決勝トーナメント進出を逃したが、それでも人々は健闘を称えた。しかし、バドミントンと卓球のファイナルも世界のベスト8に入って出場するという構図は同じ。しかも、そこで優勝してしまったのだから、大騒ぎになっておかしくない快挙なのだ。

 もちろん世界的な人気スポーツであり選手層が厚いテニスでファイナルに残ることは、とんでもなくすごいことだ。それに比べるとバドミントンと卓球で好成績を残すのは中国や韓国で、一部の国しか強化に力を入れていないというイメージがある。だが、バドミントンはデンマークやドイツ、英国、スペインといった欧州各国にインド、マレーシアなどのアジア、卓球もドイツ、オーストリア、ポルトガル、スウェーデンなど欧州に強豪国がある。ファイナルに出場するには、これらの国の選手たちと戦って勝利を重ねる必要がある。そして世界の頂点に立つというのは至難であり、もっと称賛されていい。