元々、安倍政権は「女性の社会進出」「男女共同参画」に強い疑念を抱いている。例えば、第2次安倍政権の閣僚の多くが所属している「日本会議」のホームページは、「近年は、夫婦別姓を導入する民法改正案や男らしさや女らしさを否定する男女共同参画条例が各県で制定され、子供や家庭を巡る環境がますます悪化しています」と記し、男女共同参画を明確に否定しているのだ(「日本会議」HP)。

「女性の活躍」という課題は、高支持を維持してきたアベノミクスにこれまで欠けていた「弱点」だったといえるだろう。それは、本来野党がアベノミクスへの対抗軸として取り組むべき政策だったということを意味する。ところが、野党がモタモタしている間に安倍政権が「女性の活躍」という野党の政策を先取りする形で、アベノミクスの弱点を埋めたのだ。

 しかも、安倍政権は、世論の動向を慎重に見極め、少しずつ修正しながら政策を進めている。野党が期待するような、劇的な支持率低下につながる大失敗をすることはない。結局、いろいろな問題点があろうとも、「失われた20年」の長期経済停滞に苦しむ国民に一息つかせて、経営者も現場のサラリーマンも、簡単に否定しがたい心情になる「アベノミクスへの消極的支持」(第109回・2p)は、今後も続いていくことになる。このままでは、7月の参院選は安倍自民党の4連勝、野党惨敗となるのは必至なのだ。

共産党が提唱する
「国民連合政権」構想はナンセンス

 野党はどうすべきだろうか。とりあえず、共産党が提唱する「国民連合政権」構想は、民主党、維新の党にとってはあり得ない選択肢だとはいえる。この構想は、「集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤廃」「安保法制の廃止」だけに絞って野党が連合して安倍政権を倒すというものだ。確かに、共産党は安保法制への反対で大きな存在感を発揮した。だが、野党間で本来、最も政策の違いが大きい安全保障問題だけで一致しようというのは、調子に乗りすぎだ。

 確かに、安保法制の国会論戦では、野党が反対で一枚岩になったように見えていた。だが、それは安倍首相が本格的な国会論戦が始まる前に米国に法案成立を約束してしまい、岡田代表や他の保守系議員たちをも大激怒させてしまったからだ。集団的自衛権の限定的行使容認に肯定的だった民主党の保守派でさえ「安倍にだけはやらせない」と怒り狂い、野党側が一斉に反対となった。だが、これは極めて珍しい異例の事態だったことは理解すべきだ(第111回)。野党間で常に安全保障政策が一致するということはありえないことなのだ。