2016年の税制改正で分かれる明暗
相続した空き家・空き地をどうする?

2016年の税制改正により、ケースによっては、相続した物件や土地を持つ人の明暗がはっきり分かれることになりそうだ

 実家を相続する人にとっての朗報が年末にあった。2016年の税制改正が閣議決定され、相続した土地売却の税負担がゼロになる道が開かれたのだ。

 内容は、相続して3年以内に建物や土地を売却した場合に、譲渡所得から3000万円を特別控除するとしている。つまり、「最大3000万円×20%=600万円」の税金が軽減されるのだ(※詳細は「平成28年度税制改正大綱」参照)。

 この税制改正は、相続された家が放置されているケースが多い中、これらの売却を促す狙いがあると考えられる。こうした空き家・空き地対策に政府は危機感を募らせ、本腰を入れ始めている。2015年に「空き家等対策の推進に関する特別措置法」、略して「空き家対策特別措置法」を制定している。この法律の大きなポイントは、市区町村の権限が大幅に強化され、倒壊の恐れのある空き家や衛生上著しく有害となる恐れのある空き家を「特定空き家」として認定し、所有者に対して、撤去や修繕を命令できるようになった点だ。

 さらには税制面の修正で、特定空き家に認定されると、特例を受けられなくなることから、土地の固定資産税が最大6倍になることも決まった。たとえば、相続した実家の固定資産税がこれまで5万円程度だったものが30万円に跳ね上がってしまうことになる。これによって私たちは、もはやこれまで同様、空き家を放置したままにすることが許されなくなった。私たちは、今ある空き家・空き地を売却するか、住むか、活用するかの三択を迫られることとなった。

 日本にはこうした空き家が819.6万戸(2013年度)あることが、総務省の調査で明らかになっている。空き家は適切な管理が行われないと、防災、衛生、景観などの面で、周辺の生活環境に深刻な影響を及ぼす。少子高齢化で人口が減少しているというのは、死亡人口>出生人口を意味しており、高齢者の持ち家率が80%と高いために、空き家発生戸数が持ち家ニーズを上回ることが容易に想像できるであろう。

 需給バランスが悪ければ価格が下がるのは、当然の市場の原理になる。以下のグラフに見られるように、47都道府県の過去10年間の人口増加率と地価上昇率には強い相関関係が存在する。地価が上昇しているのは東京都だけであり、全国平均で年1.7%減少が日本の現状となる。