ヤフーとソニー不動産が発表した、個人間でのマンション売買を可能にする新サービス。不透明な既存の不動産流通業界を揺さぶり、“地殻変動”を起こす可能性を孕む。(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)

“革命”を掲げて新サービスに乗り出した宮坂社長(右)と西山社長。抵抗もあり、前途多難だ Photo by Satoru Okada

「マンション流通革命、始まる。」──。検索サイト最大手のヤフーと、ソニー不動産が提携して始めた不動産売買の新サービス「おうちダイレクト」が、不動産業界に波紋を広げている。なぜなら、利益の源泉である仲介手数料を“中抜き”するサービスだからだ。

 通常、自宅マンションを売却する際には、不動産仲介業者を通じて買い手を探す。その後、買い手が見つかり契約が成立すると、売り手と買い手の双方が仲介手数料を支払うことになる。だが新サービスでは、買い手側は従来通り手数料を支払うが、売り手側は無料だ。その仕組みはこうだ(下図参照)。

 売り手は、マンションを売りたいと思ったら、「Yahoo!不動産」内にある「おうちダイレクト」のウェブサイトに物件情報を無料で掲載できる。売却希望価格については、ソニー不動産が独自に開発した「不動産価格推定エンジン」で算出されたマンションの推定売買価格を参考にして、自ら決める。

 この価格推定エンジンは、さまざまな不動産関連情報をベースに、人工知能が独自のアルゴリズムに基づいて算出。「精度が高い上、従来、売却価格を知るには2日かかっていたが、リアルタイムで知ることができる」(西山和良・ソニー不動産社長)というものだ。

 次に、買い手は、サイト経由で直接、売り手に購入希望を伝えることができる。物件に関する質問もできるし、物件を見たいと思ったら、サイト上で見学の申し込みも可能だ。しかも、売り出されていないマンションについても、購入希望の意思表示ができる。