「5つ数えるまでにしてね。5・4・3・2・1」で、
「ゼロの概念」を教える
(Kayoko Kubota)
1932年、大阪生まれ。
脳科学の権威である京都大学名誉教授・久保田競氏の妻で2人の息子の母。約30年前に、日本における伝統的な母子相伝の育児法を見直しながら、自身がアメリカ在住時と日本で実践してきた出産・育児経験をもとに、夫・競氏の脳科学理論に裏づけされた、“0歳から働きかける“久保田式育児法〈クボタメソッド〉を確立。この20年で3000人以上の赤ちゃんの脳を活性化させてきた。テレビなどで「脳科学おばあちゃん」として有名。2008年、株式会社『脳研工房』を立ち上げ、現在代表取締役。著書に、累計34万部突破のシリーズ『カヨ子ばあちゃん73の言葉』『カヨ子ばあちゃんの男の子の育て方』『カヨ子ばあちゃんのうちの子さえ賢ければいいんです。』『赤ちゃん教育──頭のいい子は歩くまでに決まる』『カヨ子ばあちゃんの子育て日めくり』(以上、ダイヤモンド社)などベストセラー多数。ズバッとした物言いのなかに、温かく頼りがいのあるアドバイスが好評。全国からの講演依頼もあとをたたない。
【株式会社脳研工房HP】 http://www.umanma.
co.jp/
4歳ごろになると、1~10まで、1~100まで数が言える子がいて、親の自慢の種になります。
私の息子たちも数えることはできましたが、私が認めるのはそんなことではなく、数学的思考の基本的なものを身につけて、数えているかどうかということでした。
私は数学的なセンスのある大人になってほしいと願っていましたので、そのための条件を整えて育てました。
単なる数字の暗唱はさせたことがなく、1と2の違い、特に「0(ゼロ)」の概念をどのようにつかませるかに苦心しました。
当時──1960年代前半ごろ、ロケットがさかんに打ち上げられ、よくニュースの時間に「スリー・ツー・ワン・ゼロ」と言って、ゴーッと発射音が響きました。
次男の大好きな人形劇『サンダーバード』など、この逆読みがよく耳に入りました。
私はこの言葉を、時間がなくなるということを教えるのにわかりやすいと思い、利用しました。
「早くして、ほら、テン・ナイン……」
とか、
「5つ数えるまでにしてね。5・4・3・2・1」
と言ってせかしたりしたものです。
瞬発力をつける動作をするとき、「イチ・ニ・サン!」というかけ声の日本式と、どうも発想の違いを感じます。
1から数が始まるのは、有限の計算には強くなっても、「0(ゼロ)」の感覚が数字から入ってこないように思えるのです。