サウジの敵・シリアのアサド大統領が
ロシアの支援により復活へ

 さて、米国が中東に対してやる気を失った後、シリアでは「反アサド派」に属していた「イスラム国」(IS)が、急速に勢力を伸ばしていく。ISは、首切り処刑の動画を世界に配信するなど、あまりにも残酷なテロ組織だ。やむを得ず、米国は14年8月から「IS空爆」に踏み切った。

 しかし、ISは、反欧米のアサドと戦ってくれる「捨てがたい存在」でもある。それで、米国を中心とする「有志連合」の空爆は「ダラダラ」していた。なんといっても、ISの資金源である「石油インフラ」への空爆を一切行っていなかったのだから。

 15年9月、今度は、ロシアがIS(とその他反アサド派)への空爆を開始した。アサドを守りたいロシアの空爆は本気。ロシアは遠慮なく石油インフラへの空爆を行い、ISは短期間で弱体化した。

 米国は当初、「ロシアはISではなく、反アサド派を空爆している」と非難していた。しかし、あまりやる気がないので、結局妥協。15年12月18日、国連安保理は、全会一致で「シリア和平案」を承認した。合意内容は、「アサド派」と「反アサド派」からなる「新政府」を樹立すること。新政府は新憲法を制定し、選挙を行う。これで、アサドが選挙を通して合法的に政権にとどまる可能性も出てきた。

 いままでの米国の行動を振り返ってみよう。

1.シェール革命により米国は、資源が豊富な中東への関心を失った。
2.米国の関心は中東から、最大の脅威・中国のあるアジアにシフトしている。
3.米国は、サウジアラビアを防衛したいという熱意を失った。
4.米国は、サウジの敵であるイランに接近している。
5.米国は、サウジの敵であるアサド打倒をあきらめ、延命の可能性を開いた。

 これらすべての要因がサウジを焦らせ、怒らせる