3歳くらいまでは
一度は目をつぶることも大事
(Kayoko Kubota)
1932年、大阪生まれ。
脳科学の権威である京都大学名誉教授・久保田競氏の妻で2人の息子の母。約30年前に、日本における伝統的な母子相伝の育児法を見直しながら、自身がアメリカ在住時と日本で実践してきた出産・育児経験をもとに、夫・競氏の脳科学理論に裏づけされた、“0歳から働きかける“久保田式育児法〈クボタメソッド〉を確立。この20年で3000人以上の赤ちゃんの脳を活性化させてきた。テレビなどで「脳科学おばあちゃん」として有名。2008年、株式会社『脳研工房』を立ち上げ、現在代表取締役。著書に、累計34万部突破のシリーズ『カヨ子ばあちゃん73の言葉』『カヨ子ばあちゃんの男の子の育て方』『カヨ子ばあちゃんのうちの子さえ賢ければいいんです。』『赤ちゃん教育──頭のいい子は歩くまでに決まる』『カヨ子ばあちゃんの子育て日めくり』(以上、ダイヤモンド社)などベストセラー多数。ズバッとした物言いのなかに、温かく頼りがいのあるアドバイスが好評。全国からの講演依頼もあとをたたない。
【株式会社脳研工房HP】 http://www.umanma.
co.jp/
キャベツ畑からチョウを虫かごいっぱいに入れて帰ってきた長男に、
「お願い。今日はお彼岸だから、そんな殺生はしないで」
と、隣のおばさんが逃がしてくれと頼んでいました。
やっと納得した息子はチョウを逃がそうと虫かごの口を開けましたが、ぎっしり詰まったチョウは飛び出すことができません。
息子は人指し指を突っ込んで無理矢理ほじくり出すので、大部分は死んでしまいました。逃がすのは惜しいという思いがしても、殺したことにはなにも感じていないようです。
他にも、小さなバケツにおたまじゃくしを入れたままにして翌朝全部死なせたのをポイと捨てたり、アリの行列を端から踏みつぶしたり、息子は私がだまって見ていられないことをよくしました。
その都度、すぐ文句を言いたいのを、私も小さいときやったと思ってためらい、この残忍さにつながる行為をどのように解釈して、息子に対応すべきか迷ったものです。
思いやりのある子に育ってほしいという願いとは裏腹に、息子の性格の中に残忍なものがひそむのではないかと心配したこともありましたが、その行為のあとの親の態度や応じ方をどうすべきか、見ていて気分のよくないのを頭ごなしに叱らず、「私はイヤ」「次はしないで」と、一度は許すことで目をつぶりました。
乳児のころ、よく母親の目や鼻の穴ヘ指を入れようとして、母親がイヤがってもなかなか止めようとしないことがあります。
これらの行為が、単純ないじわるに移行していくのならいいのですが、残忍な行為に移らないよう、無力なものへの心ない行いを叱り、弱い者をいじめる子にはしたくないものです。
私は、まず3歳くらいまでは、「かわいそうだね。ママはイヤだなぁ」と軽く非難するだけにとどめました。