在宅医療を手掛ける診療所増加への流れも

 死のあり方に対して、時代の流れは明らかに過渡期に入った。それでも、自然死、平穏死つまり老衰死はまだまだ多数派ではない。看取りに真正面からきちんと向き合う医療態勢が不十分ともいわれる。

 在宅療養支援診療所には、患者への24時間の対応が義務づけられている。だが、医師一人だけの多くの診療所では、週末や休日、休暇中も含めての24時間対応が高いハードルになっている。在宅医療の報酬は高めに設定されているが、それでも「全国どこでも在宅医」という状況ではない。

 そこで、ハードルを下げようと、夜間と休日に稼働する専門医師を地域の診療所に送り出す斬新な医療機関が現れ、注目されている。佐々木淳医師が率いる医療法人社団「悠翔会」(東京)である。

 東京23区と川崎市や千葉、埼玉両県で9ヵ所の診療所を持つ。夜間と休日に、他の診療所と連携してその診療所の医師に代わって出向く。患者の診療情報を電子カルテで共有しており、連携先の医師や患者からの緊急の要請を受ければ、当直拠点の診療所から訪問に出る。

 患者は、一旦決めたかかりつけ医を変えることなく、外来から在宅医療に移ったり、緊急時の訪問診療も同じ診療所から受けることができる。

 訪問診療医にとっては、夜間や休日の診療負担が軽くなり、看取りまで長期的に患者に関わることができる。これによって、在宅医療を手掛ける診療所が増えていく可能性が高まりそうだ。

 悠翔会では現在の連携先の14の診療所を年内には30ヵ所に増やしていく。