「何もしていない」ときこそ
チャンスが訪れる
随分と前のことですが、10分1000円のヘアカット専門店であるQBハウスが世の中に登場した際、キュービーネット株式会社(本社 東京都)の創業者である小西國義さんにお話を伺ったことがあります。
アメリカではあたり前だった10分1000円ヘアカットのビジネスモデルですが、日本ではさまざまなハードルがあったそうです。その1つが、1000円という低価格のなかで、いかにして利益を上げるかという点でした。
「もっとスタッフの作業を減らすには?」
「できる限り外部に支払うコストを減らすには?」
そんなことを朝から晩まで考えていた小西さんが何気なくテレビを見ると、「携帯電話の普及によってテレホンカードの利用が激減し、カード販売機をつくっている会社が困っている」というニュースが流れていたそうです。そこで小西さんが思いついたのが、テレホンカードの販売機を店舗の券売機にするというアイデアでした。
お金を入れてカードが出てくる仕組みなら、お客様が料金を支払ったかどうかがすぐに確認できますし、スタッフがレジに立たなくてもよくなります。それに、売れなくなっている機械なので、ひょっとすると安く買えるかもしれない。
早速、そのメーカーに相談に行ってみると、さらにラッキーなことに、テレホンカードの販売機には通信機能がついていることもわかりました。つまり、販売機と本部を電話回線でつなぐことで、売上の集計や管理のほか、不正・盗難の防止もできるという「おまけ」までついてきたのです。