もの静かな外見、轟音を立てる脳内

最高のリーダーは「何もしない」、つまり現場で手を動かすことはしないにしても、とにかく頭を働かせ続けています。

QBハウスの小西さんだけでなく、「社長トーク」にお越しいただいた経営者さんたちも、物静かな外見とは裏腹に、頭のなかは怒涛のごとく高速で回転しているというタイプの方がたくさんいらっしゃいます。

靴下を製造・販売する株式会社タビオ(本社 大阪市)の創業者である越智直正会長もつねに考え続けるリーダーです。

「靴下はわが子と同じだ」と語り、「靴下の神様」とも称される越智会長は、なんと1970年代に、生産から販売・在庫までを一貫して管理するサプライチェーン・マネジメント(SCM)のシステムを構築しました。

我が身の分身とも言うべき靴下が売れ残るのがあまりに悲しく、なんとかせねばという一心で、まだSCMの概念もなかった時代に、自ら勉強をしてシステムをつくり上げたというから驚きです。

アパレル業界最強とも言われたSCMをつくった越智会長ですが、ご本人はこんなふうに語ってくださいました。

「サプライチェーン・マネジメント? そんな言葉、知らないよ。靴下が売れ残るのが嫌で、そうならないためにはどうするかをずっと考えていただけ」

また、越智さんとの対話のなかで印象的だったのが、「気を抜くと靴下のことを考えてしまう」という言葉です。仕事中はもちろんなのですが、休憩中ですら、うっかり気を抜くと、すぐに靴下のことを考えているというのです。

まさにこれは象徴的なお話です。リーダーとして結果を出す人は、考えることが常態化・習慣化しています。

チームのなかで誰よりも「考えている」のがリーダーなのです。

(第10回へつづく・明日公開予定)